特殊詐欺の被害防止について質問ー法務委員会ー

5月30日の法務委員会では、旧優生保護法国家賠償請求訴訟判決や特殊詐欺などに関して、質問しました。

<議事録>

○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
今日は、法曹養成の話が多い中で、私は実際に法学部を御卒業なさった方々によって行われている実際の裁判について質問をさせていただきます。
本日は、ちょっと質問の前に前置きをいたします。私は、ここにいらっしゃいます伊藤孝江さんたちと一緒に、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対する一時金の支給などに関する法律、この成立に政治家として協力をしてまいりました。被害者の方に一律三百二十万円が五年間支払われ、医学的な根拠以外の証拠についても専門家の審査によって受給権の認定ができるという制度にいたしましたが、しかしながら、実際、現在実名を把握している被害者の方々も含めて、通告をこちらから行わないということにいたしまして、あくまでも被害者の方々から通告をしてくださるのを待つという立て付けになっております。
一方で、おとといの五月の二十八日、仙台地裁にて、旧優生保護法下で不妊手術を強制された女性二名の国家賠償請求訴訟、それぞれ請求額三千三百万円、もう一方は三千八百五十万円、判決で被害者の請求は却下されました。子供を産み育てるかどうかの意思決定をする権利、これはプロダクティブライトと言いますが、ここを侵害したと、憲法十三条に反した違憲であることというのは指摘されておりますが、原告の請求は棄却されました。
そこで法務大臣に、この裁判、個々一つ一つにお答えされることには限界があるということは重々承知しておりますが、判決に対する見解をお伺いいたします。
○国務大臣(山下貴司君) まず、旧優生保護法に基づく強制手術等に関しまして、これは委員の御尽力もございまして、旧優生保護法一時金支給法が成立いたしました。そして、これを受けまして、例えば、総理において、政府としても、旧優生保護法を執行していた立場から、手術等を受けることを強いられた方々が心身に多大な苦痛を受けてこられたことに対して真摯に反省し、心から深くおわびする旨が発表されたところでございますが、その思いにつきましては私も政府の一員として同じでございまして、この機会に深くおわび申し上げるところでございます。
他方で、御指摘の訴訟につきましては、個別の現在係属中の訴訟に関する事項でございます。そういったことから、確かに結論において様々な法判断があり、原告らの請求をいずれも棄却する判決が言い渡されたということは承知しておりますが、この判断に対して私が法務大臣としてコメントするところは差し控えさせていただきたいと考えております。
いずれにしても、旧優生保護法国家賠償請求訴訟に関しましては、今後も、関係省庁と協議の上、適切に対応してまいりたいと考えております。
○石井苗子君 ありがとうございました。
私は、政治家になって初めて自分が何か仕事をしているなという実感を込めてやってきたんですけれども、憲法で保障された幸福追求権まで奪われて、救済法で三百二十万円の一時金しかもらえず、裁判でも賠償請求は認められないというのは、報道だけ一時的ににぎわっておりまして、これは余りにも残酷な状況にあると思っています。言葉を選ばずに言ったら、被害者の方は踏んだり蹴ったりだなという感じがしておりまして、一体何をやっているんだろうかと、私、個人的にそう思いましたので、せめてこの法務委員会で次の質問をさせていただきます。
今回の判決では、原告の請求は除斥期間を理由に退けられました。私の拙い理解で申しますと、被告が手術を受けてから二十年以上たっているので、請求する権利が消滅しているということだと思います。民法七百二十四条の不法行為の損害賠償請求権に除斥期間が設けられている理由は何でしょうか、お答えください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現在、民法第七百二十四条後段でございますが、不法行為のときから二十年という権利の消滅期間を規定しておりまして、判例はこれを除斥期間であると解しております。
このような期間制限が設けられましたのは、不法行為をめぐる権利関係が長期にわたって確定しなければ、この間に証拠が散逸することなどによって債務者にとって反証が困難になるなどの問題が生ずることから、被害者の認識にかかわらず、一定の期間の経過によって不法行為に基づく損害賠償請求権が消滅することとして法律関係を早期に確定させるためであるものと考えられております。
○石井苗子君 権利関係の早期安定と証拠が散逸することが除斥期間を設けた理由ということでありましたら、その規定にかかわらず、損害賠償請求権が認められた例を、あるかどうか、お答えください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
除斥期間の経過にかかわらず、不法行為に基づく損害賠償請求権が消滅したとは言えないと判断された最高裁判所の判例としましては、二つのものが挙げられます。一つは不法行為。具体的には、予防接種が原因で被害者が判断能力を欠く状態となり、かつ除斥期間が経過したときには法定代理人を有していなかった場合に、その後就任した法定代理人が六か月以内に損害賠償請求権を行使したという事例でございます。もう一つでございますが、被害者を殺害した加害者が死体を隠匿したために被害者の相続人が被害者の死亡を知らず、相続人が確定しないまま殺害のときから二十年が経過した場合に、その後相続人が確定したときから六か月以内に損害賠償請求権を行使したという事案でございます。
○石井苗子君 予防接種とそれから殺人事件、平成二十一年の、私が調べたものと同じだというお答えなんですけれども。
今回の民法改正で七百二十四条のこの除斥期間の規定が消滅時効の規定に改正されるわけですけれども、この理由は何でしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
除斥期間は、時効の中断ですとか停止を定めた規定の適用がございませんので、期間の経過による権利の消滅を阻止することができません。また、除斥期間が経過したという相手方の主張に対して、そのような主張が信義則に違反し又は権利濫用に当たると主張することはできないというふうに解されております。
そのため、権利消滅期間が除斥期間であるとしますと、長期間にわたって加害者に対する損害賠償請求をしなかったことに真にやむを得ない事情があると認められる事案においても被害者の救済を図ることができないおそれがあるということでございます。この権利消滅期間を消滅時効期間と改めることによりまして、時効の中断、停止等の規定が適用されることとなりますため、被害者において加害者に対する権利の時効による消滅を防ぐための措置をとることが可能になります。また、消滅時効期間の経過により権利が消滅したという主張が加害者側からされたとしましても、裁判所は個別の事案における具体的な事情に応じて加害者側からの時効の主張が信義則違反や権利濫用になると判断することが可能になりますことから、被害者の救済を図る余地が広がることになります。
このようなことから、平成二十九年の民法改正におきましては、この現行の七百二十四条後段の権利消滅期間を消滅時効期間に改めることとしたものでございます。
○石井苗子君 そうなりますと、相手側といいますか、真にやむを得ない場合ということが存在するときに、時効の中断があるとか、被害者側に有利になる、被害者側の有利の幅が広がるということを今お聞きしたんですけれども、この七百二十四条の規定が改正されることによって、これ法務大臣、先ほどの続きなんですけれども、先ほどのその裁判、今も二十件ほどあるんですけれども、この改正によって何か変わる可能性があるかどうか。違憲の法律によって男女が生殖機能を強制的に国によって奪われるという人格権を侵害されたわけですから、これまさしく国、謝罪はいいんですけれども、今、法務大臣としては、取りあえず今国が勝訴しているからまあいいだろうというような、まさかそういうお考えではないと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) まず、もちろん、先ほど申し上げたとおり、この優生手術等に関する私の思いというのは先ほど総理も述べたのと同じ、政府の一員として深くおわび申し上げるという思いには変わりはございません。
他方で、この民法改正に基づくものにつきましては、これは経過措置が定められておりまして、詳細については必要があれば事務方から御紹介いたしますが、これはもう完成した除斥時間に関してはこれは遡及されないというところでございます。その法適用がどうなるのかにつきましては、具体的な個別事件に関する法適用でございまして、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
○石井苗子君 大臣からいろいろと御答弁いただきましてありがとうございます。
まあこの件はまた少し状況を見て考えさせていただきますが、次の質問に移らせていただくんですけれども、次の質問もやはり一般の方から私のところに意見書並びに電話が掛かってきたことでございます。
振り込め詐欺から始まった全国的に高齢者を狙った特殊詐欺事件、いまだに存在しております。広報活動で広く防犯を促していらっしゃるようですが、手口が徐々に残酷になってきているという現状を踏まえ、今後は高齢者が増えていくこともあり、核家族化は経済的な理由でそのままの状態であることの現状を踏まえて、オレオレ詐欺の犯人は掛け子や受け子と呼ばれているような末端の犯罪しか検挙されていないようであります。
法務省にこういった件について質問をしてほしいという御要望もありますので、まずお伺いします、警察庁の方に。現在の特殊詐欺という犯行の手口、どのようなものがあるか、整理して御紹介ください。
○政府参考人(田中勝也君) 最近の特殊詐欺の主な手口でございますが、親族、警察官、弁護士などを装い、交通事故の示談金や使い込んだ会社の金の補填金などを名目に現金をだまし取るオレオレ詐欺や、はがきやメールなどを利用して架空の事実を口実とした料金を請求して現金をだまし取るといった架空請求詐欺などが挙げられるところであります。オレオレ詐欺と架空請求詐欺の二つの手口で、認知件数でいいますと特殊詐欺全体の八四・八%を占めているところであります。
また、現金をだまし取る手段につきましては、口座への振り込みのほか、現金を送付させるもの、キャッシュカードを手交、手渡しさせるもの、電子マネーを購入させるものなどがあるところでございます。
○石井苗子君 大変巧妙ですね。中に弁護士を偽るというのがあったのでちょっとびっくりしたんですけれども、資質というのが弁護士のところで先ほど質問されていらっしゃいましたけれども、巧妙な手口です、キャッシュカードを目の前ですり替えるとかですね。
最近はアポ電と言いまして、先ほど私が言いました、だんだん手口が残酷になってきているというのは、もう詐欺の段階を逸脱しておりまして、行ったらとにかく殺してしまうというような形になってきていると。どうして少なくなっていかないのだということで、どんどんどんどんエスカレートしていくんでしょうかという質問だったんです、私が意見書をいただいたのは。
特殊詐欺の認知とか検挙状況ですね、これをまず確かめたいと思いますけれども、先ほど私がした、出し子だとか受け子だとか掛け子だとかというような末端なところではなく、その検挙状況というのをちょっと御説明していただけると有り難いんですが。
○政府参考人(田中勝也君) まず、平成三十年中の特殊詐欺の認知件数でございますが、約一万六千五百件、被害額は約三百六十億円でありまして、前年に比べましてそれぞれ約九・四%、約七・八%減少したものの、依然として高水準で推移しておりまして、深刻な情勢にあると認識をいたしております。
検挙状況でございますが、概括的に申し上げますが、平成三十年中の特殊詐欺の検挙状況につきましては、検挙件数が五千百五十九件、検挙人員は二千六百八十六人となっておりまして、前年に比べそれぞれ約一一・一%、約九・七%増加をいたしております。
○石井苗子君 いや、すごい数ですね、三百六十億円。
これ、なぜ上層部の方が捕まりませんか、非常に不思議なんですが。例えば暴力団とか、そこのところはどうなっていますか、教えていただけますか。なぜ捕まりませんか。
○政府参考人(田中勝也君) 特殊詐欺の被害が止まらない理由及び対策について御説明を申し上げます。
特殊詐欺につきましては、他人、架空名義の携帯電話や預貯金口座等が利用されること、犯行拠点を頻繁に移転させること、多くの者が役割分担をしており、末端被疑者を検挙しても組織の全容解明や組織中枢の検挙につなげることが極めて困難であること、対策に応じて被疑者側が犯行の手口を巧妙に変化させることなどの特徴があり、特殊詐欺の被害が高水準で推移している要因の中にはこういったことがあるものと認識をいたしております。
これに対しまして、警察におきましては、取締りにつきましては、犯行拠点の摘発等による実行犯の検挙やそこからの上位者への突き上げ捜査、犯罪に利用された携帯電話の利用制限などの犯行ツール対策といった取組に加えまして、特殊詐欺事件の背後にいると見られる暴力団、準暴力団、外国人犯罪グループ、暴走族等に対して各部門において多角的な取締りを行うとともに、これらを通じた情報収集を行うなどの取組を推進しているところであります。
また、予防につきましては、金融機関、宅配業者、コンビニエンスストア等と連携した顧客への積極的な声掛けを行う、金融機関と連携し、ATMでの利用実績のない高齢者についてATMでの振り込みや出金の限度額を設定していただく等、官民一体となった取組を推進しているところであります。
○石井苗子君 いや、私、それ質問していないので。次の質問のお答えになっていますよ。被害が止まらない理由を申し上げます、これ次の質問です。
私が聞いたのは、いろんな手口はあって、なぜ、その上部層などがどうして捕まらないんですかということについてのお答えが欲しいんですね、お電話もいただいているので。
なぜ暴力団組織の上部層などが捕まらないのでしょうか。
○政府参考人(田中勝也君) 先ほどの御答弁で冒頭に申し上げましたけれども、特殊詐欺につきましては、他人、架空名義の携帯電話や預貯金口座等が利用されること、犯行拠点を頻繁に移転させること、そして、多くの者が役割分担をしておりまして、末端被疑者を検挙しても組織の全容解明や組織中枢の検挙につなげることが極めて困難であること、対策に応じて被疑者側が犯行の手口を巧妙に変化させることなどの特徴がありまして、これが上層部の検挙になかなかつながらない一因かと考えております。
○石井苗子君 極めて困難であること、犯行の手口を次々と変えるのでなかなか捕まらないということでイタチごっこになっているから捕まらないんだと、なかなか上層部は、ということなんでしょう。
次の質問はお答えになってしまったみたいですけれども、特殊詐欺の被害が止まらない理由、じゃ、それ飛ばしまして、高齢者に対する注意喚起、啓発というのが、先ほどお答えもいただいておりますけれども、これどのように行っているのかということ、もう一回お聞きいたしたいのと、法務省に対して、こういったなかなか難しい、捕まらない、啓発運動はやっているという御答弁いただいているんですけれども、刑罰の目的というのは何なのかを法務省の方にもお答えいただきます。
○政府参考人(田中勝也君) 高齢者に対する注意喚起、啓発につきまして御説明申し上げます。
警察におきましては、高齢者の被害防止対策として犯人からの電話を直接受けないことが効果的であると認められることから、自動通話録音機や留守番電話機能の活用を呼びかけるとともに、高齢者に対する注意喚起のみならず、その子供や孫世代も含めて日常的に家族間で連絡を取り合うことで被害に遭わないようにするための広報啓発活動などを推進しているところであります。
今後とも、特殊詐欺の被害防止を図るため、必要な対策を推進してまいりたいと考えております。
○政府参考人(小山太士君) 刑罰の目的についてお尋ねがございました。
この刑罰の目的、意義につきましては様々な考え方がございますが、一般に応報、すなわち犯罪を行ったことに対する報いとして科すものであるとの考え方や、犯罪を予防するために科すものであるとの考え方があるものと承知しております。
そして、犯罪の予防と言われる中には、犯人に刑罰を科すことによる威嚇力によって犯人以外の一般人の将来における犯罪を予防するという、これ一般予防と申しますが、この一般予防と、その犯人自身が将来再び犯罪に陥ることを予防しようとする特別予防というものが含まれるものと承知をしております。
○石井苗子君 まず、高齢者に対する注意喚起、啓発というところですけれども、家族が頻繁に連絡を取りって、もうそんな家族が頻繁に連絡が取れないところを狙ってくるわけですね。あと、留守番電話にしておいて、向こうで、私がレクで教わったのは、録音をしますと言うと犯罪を犯そうとしている人は切る場合が多いので、それで予防できるのではないかというと、これはもう電話の手段を、高齢者の方の自由を奪うということでございまして、録音をしているときに息子をかたるというような声が聞こえてきた途端に出てしまうという方もいらっしゃるわけです。
ですので、逆探知をするとか、必ずその電話を掛けているところを見付けることができるような装置にするというような、もうちょっと一歩踏み込んだ形の注意喚起といいますか予防ということができないのかと思うのと、もう一つは、予防には、今報いと、社会全体の予防と一般予防があるというふうにおっしゃいましたけれども、もう刑罰が余りにも軽過ぎるからという意見も意見書の中にはございました。その点につきまして、警告刑というものはですね、あっ、警告ではないですね、宣告ですね、宣告刑というものはどのようにして決めていらっしゃるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 一般論としてのお答えになりますけれども、特殊詐欺を含めた詐欺罪の場合で申し上げますと、法定刑は一か月以上十年以下の懲役と定められております。ですので、詐欺罪が一つであればこの刑の範囲内で、複数の詐欺罪が成立する場合には併合罪として刑が重くなりまして、一月以上十五年以下の懲役刑の範囲内で宣告刑を定めることになります。
文献等によりますと、具体的な判断に当たりましては、類似の犯罪の量刑結果も参照しながら、組織性や計画性といった行為態様、被害額、また先ほどお話ございましたが、共犯がある場合には本人が果たした役割の大小などといった犯罪事実、犯罪行為に関する事情を基本としつつ、そのほかに被告人の反省や更生環境、事件の社会的影響などの一般情状も加味して具体的な宣告刑を定めていくものというふうにされております。
○石井苗子君 そうすると刑の重さ、量刑については一般予防は考慮されているんでしょうか、どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 先ほど刑の目的についても様々な考え方があるというお話でございましたが、一般予防の観点につきましても、これがどういった量刑要素に表れているかということにつきましては様々な考え方があり得るところでございます。
ですが、特殊詐欺について申しますと、少なくとも同種犯罪を抑止する必要性、あるいは当該事件の社会的な影響といった点で一般予防的な要素が考慮されることがあると、そのように評されているところでございます。
○石井苗子君 つまり、もっと厳罰化してくれという話なんですね、この意見している一般の方々は。そうすると、今の話だと、量刑で特殊詐欺を厳罰化することは可能だというふうに考えてよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(安東章君) 一般的な考え方につきましては先ほどお答えしたとおりでございます。各裁判官が個別事件で、一般予防の観点も含めまして事情を考慮しながら量刑判断を行っているものと承知してございます。
ですが、事務当局の方で個別の判断の当否にわたるようなところをコメントすることにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
○石井苗子君 特殊詐欺の法定刑を引き上げるということに関して、じゃ、質問の形を変えて、議論はありますか。どうでしょう。
○政府参考人(小山太士君) お答えをいたします。
今最高裁の御当局からも一部答弁ございましたが、刑法上、詐欺罪の法定刑は十年以下の懲役とされておりまして、これを併合罪加重した場合には十五年以下の懲役となります。また、いわゆる組織的犯罪処罰法がございまして、こちらの組織的犯罪に当たる場合、詐欺罪の加重類型といたしまして組織的詐欺罪が規定されておりまして、その法定刑は一年以上の有期懲役とされております。この懲役の上限は二十年でございまして、併合罪加重した場合には三十年となります。
このように、現行法におきましても相応に重い法定刑が定められておりまして、いわゆる特殊詐欺につき法定刑を引き上げることにつきましては、実際の処罰の状況等として、法定刑が低いがために適正な量刑が困難となっているような状況にあるのかといった検討課題があると考えております。
いずれにいたしましても、検察当局の方といたしましても、悪質な事情につきましては適切に主張を立証することで厳正な科刑の実現に努めているものと承知をしております。
○石井苗子君 日本の刑罰というのはアメリカと違いまして三百年の刑とかというふうに足し算でやるわけではないということぐらいは私は知っているんですけれども、人一人が亡くなった場合とその詐欺という場合、先ほどに、最初の手口は詐欺であって結局は殺人で終わるというような場合、これは一番重い刑で何年でございますか。
○政府参考人(小山太士君) それは殺人に当たれば死刑がございます。
○石井苗子君 殺人に当たれば死刑があるというところなんですが、そこは分かっていますが、組織犯罪処罰法などで刑を加重していて、組織的な犯罪である特殊詐欺に適用される場合は厳罰化されていて現時点で検討を要さないというようなお答えがあったと思うんですが、大臣に最後にお伺いいたしますけれども、これだけ特殊詐欺の被害が相次いで、高齢者が生活費までだまし取られていき、最後には殺人に至るというようなことで、死刑というところを見て考えなさいというようなお答えではなくて、特殊詐欺対策として法定刑の引上げというのをやはり少し検討する余地があるんじゃないかと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 組織的詐欺罪につきましては、先ほど局長も答弁したとおり、組織的犯罪処罰法においてその懲役の上限が二十年、あるいは併合罪加重でも三十年ということで、相応に重い法定刑が定められているということでございまして、直ちに法定刑を引き上げるような状況にあるのかということについては慎重に検討すべきであろうと考えております。
他方で、それが、その犯罪が生命、身体に対する侵害を含むものであるとすれば、それは例えば殺人罪等において適正に量刑評価され、最も重い場合には死刑ということになろうかというふうに考えておりまして、そういった具体的な法適用あるいは量刑の適用においては、検察も適正に厳正な科刑の実現に努めていると承知しておると考えております。
○石井苗子君 やはりちょっと、組織的犯罪の場合はというところで、先ほどなぜ捕まらないんですかというところが、多分、一般の方々はそこで、その間でもう少し守ってほしいし、抑止力になるような方法があってほしいというような御質問だったと思いますけれども、一般的な御説明をいただいたということで御返答ができると思います。ありがとうございました。
時間が来ましたので、質問を終わります。

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