心の復興事業について質問ー東日本大震災復興特別委員会-

5月29日の震災復興特では、復興庁の心の復興事業が、本当に被災者に寄り添った支援になっているか、復興庁に質しました。

<議事録>

○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
本日は、復興庁の心のケア事業に特化した質問をさせていただきます。
現在も、NPO、そのほかの医療事業者が、関係事業者が復興庁の心のケア事業の予算の申請をしているわけなんですが、それは私も承知しておりますけれども、最近の心のケアの予算については書類選考のみなんですね。審査とか採択のプロセスというのは大変簡素化しておりまして、内容の吟味が以前よりも甘くなってきております。余り吟味していないということで、書類だけでスルーしてしまうという状態なんですね。以前、私は、もっと呼ばれまして、議員になる前に、心のケアは何ができるのか、今何が必要なのかと非常に細かく質問を受けてから予算が下りたという経験をしたことがございますが。
決算で、私が、現在どのような心のケアの支援をしているのか、いつまで継続して支援をしてくれるのかと質問いたしましたところ、政府参考人のお答えは、被災地のステージに応じた見守りとコミュニティーの形成、心のケアの目的で被災者支援総合交付金を出し、これに基づいて、自治体とNPOと連携してこれまで支援してきた、今年三月に基本方針見直しを閣議決定し、心のケアで被災者支援を期間後も対応する方針で検討するために必要な課題を今整理中でございます、そのほかの課題と併せて現在検討中でございますという議事録の答えなんですが。
これは、総合交付金を出しているということは分かるんですが、そのほかの具体的なものが何も見えてこないんですけれども、八年が過ぎて九年目に掛かって、心の復興事業が目指すものは何で、その目的のために具体的に行うことは何なんでしょうか。一度、復興大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(渡辺博道君) 石井委員にお答えをいたします。
被災地の復興を進めていく上で、私は心の復興が本当に大事だというふうに思っているわけであります。特に、私自身が視察をしてまいりました、仮設住宅から公営復興住宅に入った人たちのお話も聞かせていただきました。そのときに、やはり地域のコミュニティーってなかなかできづらいというお話が直接お伺いをしたわけであります。さらに、一度家に入ってしまいますとなかなか外に出てもらえない、こんなこともお話がありました。
そういった意味においては、地域のコミュニティーというのは大変重要であるということと同時に、そういった人たちをどうやって見守っていくんだろうかというそういった見守りの体制、それから地域の住民との交流機会等の創出、こういったことが、自治体やNPO等が行う幅広い被災者支援の取組に対して私どもはしっかりと支援していかなければならない、そのように思っているわけであります。
そして、お尋ねの心の復興事業の目的ということは、今申し上げてありますけれども、被災者同士が人と人とのつながりをもっともっと緊密にできるような体制、そして生きがいを持って暮らせる環境をつくっていくための支援を行うことであります。
今後も、これらの活動を通じて、これらの地域が更に連携しながら安心して生活できる環境をつくり、そして被災者の心の復興を力強く支援してまいりたいと思います。
○石井苗子君 私も心の復興が大事だということはよく分かっております。具体的に何をするべきなのかということについて、被災者の生きがいづくり、人とのつながりをつくるということは大事なんですが、具体的にどういうことをやっていくべきかということについて資料をお配りしましたけれども、その心のケアの具体的な予防や治療というバロメーターになる一つに、PTSD、これは心的外傷後のストレス障害のことをいうんですけれども、これは被災を受けてすぐに起こる症状ではございませんが、今大臣がおっしゃったように、外になかなか出てこないとか人とのつながりができないということの原因を探るべくバロメーターになっております。
これは大規模震災に特化したものでございまして、一つ、調査によりますと、これ民間の調査なんですが、例えば、阪神・淡路大震災から三年八か月後に行った調査では、約四〇%がPTSDにかかる可能性があります。新潟県中越地震では、三か月後と十三か月後の二回の調査でPTSD約二一%という結果が出ておりますが、東日本大震災では、これ被害者支援ネットワーク埼玉が行った民間の調査でございますけれども、震災一年後、二〇一二年三月の時点で既に六七・三%、三人に二人がPTSDの可能性が出るというストレスレベルになってきています。
こうした民間の調査でございますけれども、政府は東日本大震災のPTSDの状態というものを政府として把握しているデータをお持ちでしょうか、厚生労働省の方にお伺いします。
○政府参考人(橋本泰宏君) 東日本大震災の被災者の心のケアにつきましては、避難生活の長期化ですとか、あるいは仮設住宅から災害公営住宅への移転等の環境変化に伴ううつや気分障害の増加ですとかあるいはアルコール依存症等の増加、また福島について見ますと、これらに加えて県外避難者の心のケアへの対応と、こういった様々な困難な事例への対応が必要な状況にございまして、被災者の心のケアのニーズは依然として高い状況にあるというふうに認識いたしております。
それで、数字でございますけれども、PTSD等の心のケアのニーズを全て把握しているわけではございませんが、この被災三県の心のケアセンターで受けた相談件数ということで見てみますと、全体で、平成二十九年度に一万九千八百十一件、それから平成三十年度に一万八千八百十二件という報告をいただいております。
○石井苗子君 そうなんですね。件数としか把握していないということなんですが。
もう一度資料を見ていただきたいんですが、そのストレスの原因というのが、これ大規模震災のストレスの原因で、心理的、社会的、経済的と三つございます。
我々は、政府として三番目の経済的要因だけに視点を当ててきたわけで、経済的要因というのは、住むところ、生活の基盤となる家をどうするかとか、避難先で仕事をどうしていくかとか、賠償をどうしていくかと、まあお金とかインフラとかという問題です。こういったハードからソフトに行くときのやり方としての知恵というものが余りないのではないかと思うんですね。
例えば、PTSDの可能性というのが真ん中にあります、で、周辺を赤や黄色やブルーで囲んでありますのが要因なんですけれども、これについて今どのくらい把握しているか、その被災を受けた方々のですね、それに基づいてどうした予防策やPTSDにかからないような治療をしていって元気を付けていくことができるかといったようなことがまだちょっと足りないと思っている次第でございますが、その社会的要因というのは、悩みを話す人がいない、避難生活で家族関係がうまくいかないというようなものでございます。
この二番目のコミュニティー形成を中心としたことに被災者支援総合交付金を払ってきたと。悩みを相談できる相手をつくるとか、避難生活で家族関係がうまくいかなかったことで生じたPTSDという患者さんに対するケアはどのように行ってきたのかということが一つ、これは復興庁の方にお答えしていただきます。
次に、時間がないので、文部科学省の方にお伺いしますが、このPTSDというのは、先ほど言いましたように、瞬間的に起こるわけではないので、無関係ではないと思いますけれども、昨日起きた朝の殺傷事件もありましたが、半年後、一年後、一年半後というところに現れてくる症状なんですが、学校での児童や生徒に対するPTSDの相談というのをこれまでどのようにやっていらしたのか。
この二つを復興庁と文部科学省の方にお答えいただきます。
○政府参考人(末宗徹郎君) お答えいたします。
最初の質問でございますが、委員御指摘のように、この社会的要因、特に震災等で生活環境の変化に伴いまして被災者の方が様々な不安を抱えておられます。その心のケアを行うことが大変重要でございます。
私どもの方では、被災者支援総合交付金というものがございまして、それを活用して、現在、被災三県で心のケアセンターを運営していただいておりますが、その場においては、PTSDを含む様々な症状を訴える被災者の方々の悩み、相談に対しまして、専門家、例えば精神保健福祉士あるいは保健師といった専門家の方々が相談、訪問に取り組んでいるところでございまして、引き続きまして、被災自治体、厚生労働省と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○政府参考人(丸山洋司君) お答えをいたします。
委員の方から学校における児童生徒に対する心のケアについての御質問をいただいておりますが、まず、被災自治体の現状でございますけれども、例えば、宮城県では、小学校五年生への調査において、突然震災を思い出して授業に集中できないときがあるということや、突然震災を思い出し気持ちが落ち着かなくなることがあると答えた児童生徒が、減少傾向にあるものの、依然として一割以上存在をしているということ、また、岩手県におきましては、サポートが必要な児童生徒の割合が、減少傾向にあるものの、依然として震災被害の大きかった沿岸部の割合が高くなっているということなど、引き続き心のケアが必要な状況にあるというふうに認識をしております。
このような現状を踏まえまして、文部科学省としては、被災直後の平成二十三年度から、緊急的にスクールカウンセラー等を派遣するための事業を全額国負担として実施をいたしておりまして、今年度予算におきましても約二十四億円を計上しているところでございます。
また、各学校においては、児童生徒本人からの自主的な申出に加えまして、アンケートの実施や、学校の教員とスクールカウンセラーが連携をし、日常の様子から心配な児童生徒の発見に努めるなど、心のケアが必要な児童生徒の把握に努めているところでございます。さらに、支援が必要な児童生徒に対しては、スクールカウンセラーによるカウンセリングを行うとともに、必要に応じて保護者や教職員への助言を行うなど、関係機関と連携しながら個々の状況に応じてきめ細かく心のケアに当たっているところであります。
文部科学省といたしましては、復興庁を始め関係省庁と連携の上、引き続き被災自治体と丁寧な調整を進めながら必要な支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
○石井苗子君 ありがとうございます。
大事なことであるとか丁寧な調査に努めるとか、各関係省庁と連携を取ってというようなことは数多く今までの御答弁の中で聞いているんですけれども、やっぱり予算を充てて、その予算の使い方とそれから専門家集団の使い方ということで、いま一歩進んだことがこれから日本社会には必要になってくると思っているんですね。PTSDですとか、そういったことについてはまだ日本の社会は未熟でございまして、何となく、私も保健師ですけれども、相談員に任せるとか悩みを聞いているということだけじゃなくて、やっぱりもう少し押し上げて、治療もしてあげなきゃいけないし、自分がどうしてこういう、支援金ももらっているし、仕事もこうだと言われているし、家も住むところもあるのになぜ、なぜやる気にならないのかということについて、こういうのはフラッシュバックが来たりすることもあるので、あなたの今の状態はどうかということをきちんとバロメーターとして相手に伝えることができるような人も必要だと思うんです。
お子さんに関しては、具体的に今はこうだけれども、必ず何とかできるのだというような希望を持たせることができる専門家も必要だと思うんですね。スクールカウンセラーとか保健師とかあるいは健康相談ということだけでは、これからの社会をもう一歩進んで成熟したところに持っていけないと思うんです。
なので、その予算の使い方は、やっぱり、NPOとおっしゃいましたけれども、どんな人が、何ができて、エビデンスに基づいたこれからの政策に役に立つような把握の仕方をして持ってこれる人があるのかというような、公認心理師だとかカウンセラーだとか臨床カウンセラーだとかという方を使っていっていただきたいんですが。
先ほど冒頭で申し上げましたNPOの取組を支援するという、心のケアの企画、被災者の生きがいづくりに貢献するという目的で、ヒアリング、以前はヒアリングをもう少し丁寧にされていたんですが、一方的に不採用が連絡されてきて、採用されてきた理由が何も説明されないというのが私のところに電話が掛かってきたこともございまして、この辺はどうなっているのか、書面審査で事務的になってしまっているのかどうかということをこの際お伺いしたいと思いますが、どなたかお答えできますか。
○委員長(徳永エリ君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。
○政府参考人(末宗徹郎君) はい。お答えします。
心の復興事業の審査でございますが、基本的には書面を中心にしてございますが、必要に応じまして、私ども、これ第三者から成る有識者の選定委員会を設けておりますが、その選定委員会や事務局からもヒアリングをさせていただいているところでございますが、今委員からもるるございましたように、心の復興事業、大変大事な事業でございますので、申請内容をよく丁寧に把握するようにしてこれから事業の取組に当たってまいりたいと考えております。
○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。