保育・介護施設の各種基準の地方分権について質問 ー予算委員会ー

<議事録>
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
時間も限られておりますので、パネルを用意しておりますので、よろしくお願いいたします。
日本維新の会は、岩盤規制の規制緩和を政策の重要課題としております。これは日本維新の会の政務調査会の資料の一つですけれども、十大岩盤規制というリストでございます。(資料提示)
今日は、その中の九番目にあります保育・介護施設の各種基準の地方分権について質問させていただきます。
待機児童問題、これまでもいろいろ話題になっておりますけれども、日本維新の会の片山虎之助代表が本会議でも指摘しておりました、この待機児童問題の改善につきます規制の緩和でございます。
保育所の需要は増えているのに保育士の数が追い付いていかない、この待機児童問題ですけれども、私は、これは厚労省の設置基準が足かせになっているのではないかと考えております。
例えば、厚労省が決めております基準に合った保育士が足りないという問題ですけれども、保育士の資格がなくても、一定の講習を受けて准保育士と、仕事ができる人が准保育士であれば、基準にある保育士とその人数を置き換えてもいいのではないかということは、これは大阪の松井代表がずっと話題にしていることでございますが。
総理にお伺いをいたします。
この大阪の准保育士の話は、厚労省が定めている保育所の最低基準が実際にはこの人員体制の過剰な規制になっているのではないか、つまり、最低基準を定めていることによって自治体の自由度というのを奪っているのではないかと、これが待機児童問題の解決を遅らせているのではないかと我々は思っているんですけれども、総理の御見識はどうでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 待機児童の解消については、約六十五万人分の受皿整備や、保育士等について月額最大八万一千円の処遇改善を実施するなど、これまで待ったなしの課題として取り組んできており、待機児童数はこの四月には調査開始以来最少となる一万六千七百七十二人まで減少しました。
保育所の設置基準の詳細については加藤大臣からこの後答弁させますが、保育の質の確保、向上を図ることも重要な課題であり、最低限遵守すべき基準を設けた上で、地域の実情を踏まえた柔軟な取扱いが可能となるように努めているところでもあります。
待機児童解消のために、引き続き国としても市町村をきめ細かく支援し、全力で取り組んでまいります。
○国務大臣(加藤勝信君) 委員御指摘のように、待機児童の解消、これも喫緊の課題ではありますけれども、同時に、保育の質を確保する、また向上を図っていくということも同時に進めていかなきゃならない。そういう観点から、現行、人員配置等の基準を決めさせていただいておりますのは、児童の身体的、精神的、社会的な発達に必要な保育の水準を確保するための最低基準として必要だと、こういう考え方によるものであります。
ただ、待機児童解消のために、人員配置の弾力化、また面積についても、これは大阪市も入っておりますけれども、大都市部の一部の地域に限り国の基準を標準とする、標準とするというのは合理的な理由があればその基準に従わなくてもいいということでありますが、として国の基準と異なる内容を定めることができると、こういう仕組みを入れておるところでございますので、そうした待機児童の実情も踏まえながら、しかし一方で質の確保、向上を図っていくと、そのバランスを取りながら進めていきたいと思っています。
○石井苗子君 私も、質の確保は大変重要なことだと認識しております。
しかしながら、この待機児童の解決を前に進めるためには、児童福祉法の四十五条を見ますと、厚労省が児童福祉の施設や運営に当たっては参酌基準というルールを定めております。この参酌基準というのを自治体が参考にして独自に条例を作っていくことができるということになっていますが、この際、この最低基準があることはとても大事なことなんですが、原則、参酌基準にして、原則的に全部自治体の責任でやっていくぐらいのダイナミックな規制緩和の検討というのは、厚労大臣、お考えがあるでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 同じお答えになってしまうわけでありますけれども、全てがもちろん従うべき基準でなきゃいけないかどうかという議論はあるんだろうと思いますけれども、そういう中で、私どもとして、これはやはり保育の質を守るためには必要だ、この最低基準は確保しなければならない、そういうことで、今、人的配置等の基準を定めさせていただいている、こういうことであります。
○石井苗子君 最後になりますが、最低基準というのは守らなければならないことだということはよく分かっているんですが、厚労省は、最低基準、最低はこのくらいだというようなガイドラインを引いて、最後は自治体の責任でやるのだというぐらいの規制緩和をもって地方分権を進めるようにしないと、岩盤規制というのはなかなか緩和していかないのではないかということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
国が、自治体の住民検診で行っているがん検診なんですけれども、このパネルを見ていただきますと、これが国民のがん検診でございます、住民検診の。これが現在、国民の健康にリスクを与えている可能性があることと、がん検診に膨大な公費が費やされているにもかかわらず費用対効果の検証がなされていないということを指摘させていただきます。
これは極めて緊急性のあることでございまして、国民の二人に一人ががんにかかり、三人に一人ががんでお亡くなりになっております。その中で、国民医療費が四十三兆円に上っているということは、効果的ながん検診を行って早期発見することで寿命を延ばしていくと同時に、医療費も削減することを求められているわけです。
このパネルにありますのが対策型がん検診ということなんですけれども、これだけ行われておりますが、総理、一年間にどのくらいの公費が投入されているか御存じでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) がん検診については、基本的には地方自治体がやっておりますので、基本的には自治事務として地方交付税の中でおやりになっているんですけれども、したがって、これがという予算的な数字はつかまえにくいですけれども、大体、実施されている数と、また診療報酬上の単価、これらを含めて計算すると、大体約一千三百億円程度ではないかというふうに試算をしております。
○石井苗子君 民間のシンクタンクによりますと、人間ドックも含むがん検診です、検診市場というのは九千億円の市場でございます。自治体が行っているこのパネルのがん検診、これだけで、今おっしゃったとおりに一千三百億円でございます。
これだけの公費を使って果たして国民のがんの死亡率の減少、そして早期発見と治療、こういうことに値するほどの費用対効果があるのかどうかが問題でございまして、とりわけ、胃がんのバリウム検査というのは間接撮影で〇・六ミリシーベルトの被曝量があります。
健康な方がエックス線被曝によって受ける害とがんの発見のベネフィット、これを相対的に評価する費用相対効果という、この分析をされていますでしょうか。厚労大臣、お願いします。
○国務大臣(加藤勝信君) まず一つは、そのがん検診をすることによってがんによる死亡率を減少できるかどうかということがまず最初に問題になるんだと思います。胃がん検診の胃部エックス線検査、先ほど、バリウムを飲んで検査するについては国立がん研究センターの研究において死亡率の減少効果が示されておりまして、これを踏まえ、有識者による検討会で議論を行った結果、国が定める検診の際の検査方法としてこれが取り上げられていると、こういう経緯はあります。
ただ、今委員おっしゃった費用対効果ということになると、今のは効果があるかどうか、費用に対してどうなのかということについてはこれまで必ずしも十分な分析をしておりません。更なる分析、評価をしていく必要があるというふうに考えております。今後、検討、有識者による検討会において議論を行っていきたいというふうに考えております。
○石井苗子君 これ、問題だと思うんですね。
現在、その議論中の研究レベルだということですが、例えば、バリウム検査をするときに、がんの見落とし、三〇%以上あるということも言われております。費用対効果を考えずに検診を漫然とやっているということは、これだけの公費を使いながら大きな問題だと私は思います。
二〇一五年の七月、がん検診のあり方検討会の中間報告で、バリウム検査のベネフィットの根拠とされているという論文が三つありましたが、全部読みますと大変古いものです。エビデンスレベルからしたらかなり低いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。もう一度お答え願います。
〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員御指摘の胃がん検診、いわゆる胃エックス線の検査に関するコーホート研究が三種類だと思います。
それぞれ、済みません、どこが対象年月かというのはありますけれども、発表年は二〇〇六年、二〇〇六年、二〇〇七年ということで、それぞれ、これ当然追跡をしていかなきゃいけませんから、その前の十年間とかですね、そういった期間をベースに調査をした結果、そのコーホート研究をベースに議論をしたというふうに承知しています。
○石井苗子君 二〇〇六年、大変古いと思います。コーホートスタディーというよりは、これ、ケースコントロールスタディーの論文だったと記憶しておりますけれども、歴史的な経緯があって古い論文もエビデンスとして使っているということだと思いますが、がん検診は国際的に見ても日本は受診率が低うございます。
検診の新しい技術、これも検証の体制ができておりません。検査データを活用して評価を行って次の対策につなげるシステムというのを、これは最大の健康問題でありますがん検診対策に今こそつくるべき時期に来ているということを指摘いたしまして、この問題については追ってまた厚生労働委員会でも追及させていただきたいと思います。
あとちょっと、一分ございますので、最後の質問で、これ確認だけなんです。もう既に質問が出尽くしております日米貿易協定のことなんですが、総理に一つだけ確認をさせてください。
このニューヨークで行われましたトランプ大統領との日米共同声明の三番目のところを読んでおりましたら、ちょっと引っかかったところがあります。国内手続が終了して発効された後、四か月以内に協議を終えてから、そこからそのほかの課題について新たに交渉を開始するというふうに読めるんですが、三番目。関税は含まれないとしても、関税以外のことに関してどういうものが入ってきているのか……
○理事(三宅伸吾君) 石井さん、おまとめください。
○石井苗子君 これはもう全く農林水産分野は含まれないと理解してよろしいでしょうか。確認でございます。
○国務大臣(茂木敏充君) 九月二十五日の日米共同声明、パラグラフの三でありますが、日米で今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議、コンサルテーションをするという形でありまして、この協議において日米双方が合意したもののみが交渉の対象になります。
○石井苗子君 終わります。ありがとうございました。

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