参議院本会議決算採決で登壇討論

6月14日の参議院本会議では、平成29年度決算に反対の立場から討論を行いました。この年度の予算案に反対したので、決算にも反対するという立場です。

<議事録>

日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
会派を代表して、平成二十九年度決算その外二件の是認に反対、平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、平成二十九年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に反対の立場から討論いたします。
なお、内閣に対する警告決議案には賛成します。
討論に入る前に、一言申し上げます。
金融庁の年金報告書を政府が受取拒否をし、議論を避けている態度は決して許されるものではありません。報告書の内容を国民につまびらかにして議論するべきだと考えております。このことを訴えまして、私の決算反対討論に入ります。
平成二十九年度決算は、一般会計の歳出規模で九十八兆一千百五十六億円に上り、公債依存度は三四・二%と、依然として高い水準で推移しております。政府は、プライマリーバランスの二〇二〇年度黒字化目標を既に先送りしておりますが、より一層の無駄の削減を行うとともに、効果的な予算配分を行うことで、少子高齢化社会に対応できる持続可能な財政運営を目指さなければならないと考えます。
平成二十九年度の予算審議を振り返れば、森友問題の議論に終始しており、肝腎の国政の在り方を決める予算内容審議が不十分なまま予算が成立することになりました。その結果、会計検査院より三百七十四件、金額にして一千百五十六億九千八百八十万円の指摘が上がってきたことについて、国会は真摯に反省すべき点があるのではないでしょうか。
以下、予算執行の問題点四点を挙げ、平成二十九年度決算の反対理由といたします。
第一は、商工組合中央金庫の不正融資です。
政府系金融機関である商工中金が危機対応貸付けの融資要件を満たしていない事業者に対して書類を改ざんしてまで融資を行っていたという事実は、コンプライアンスの欠如は言うまでもありませんし、それ以前に政府系金融機関としての緊張感に欠けていたと言わざるを得ません。
有識者会議は、商工中金の完全民営化を二〇二二年までに最終的な結論を出すとしていますが、一刻も早く準備作業に着手し、完全民営化によって金融機関としての緊張感を取り戻し、不正融資などで信用を失墜すれば経営が危うくなるという自覚を持ってもらう必要があると考えます。
第二に、官民ファンドをめぐる問題です。
民間に担うことが難しいリスクマネーを政府が供給することで、民間主導の経済成長を実現させることができるファンドとして政府から出資された金額が、平成三十年九月末までに七千九百二十六億円と巨額になっています。会計検査院が検査したところ、平成二十四年度から二十八年度までの四年間の官民ファンドの大半が各年度に損失を計上していたと分かりました。
官民ファンド運営法人が行う支援に損失が生じていたということは、国民も強い関心を持っています。投資にはリスクが伴うものではありますが、投資判断の適切性を国民が知ることができるよう情報開示を推し進める必要があります。また、実際に民間投資を活発化する効果があるのかどうか、データに基づいて検証する必要もあると考えます。
第三は、奨学金給付制度をめぐる問題です。
この制度は、国が都道府県に補助金を交付し、都道府県から保護者などに対して、授業料以外の教育費、例えば教材費に充てるために給付金が支給されるというものです。保護者に代わって高校などが代理で給付金を受け取ることができる代理受領制度というものがありますが、平成二十六年から二十九年度までの会計検査院の検査によれば、十二府県が制度化しなかったために、保護者が奨学金給付金を教育費に充てていないという実態が明らかになりました。
日本維新の会は教育の無償化を訴えておりますが、このような国の制度のモラルハザードが二度と起きないように、奨学金給付金が、奨学給付金が確実に活用される仕組みの構築を強く求めます。
第四に、復興予算の執行率の低さを挙げます。
平成二十九年度復興関連予算の執行率は六六・一%と極めて低い水準にとどまっています。復興庁は、公共事業は、地元との協議が難航し年度内に事業の執行ができなかったことが原因であり、翌年への繰越しが二二・二%あるので、これを次年度以降の執行見込みとして計算すれば執行率は八八・三%になると説明していますが、本当に必要のある事業に予算を付けていたのか、執行見込みは適正に判断していたのかについては納得のいく説明がされませんでした。
被災地で住民の生活に必要なインフラ整備が進んでいない状況や、風評被害などで復興の遅れている業種が多い現状を見ますと、必要な事業を住民の目線で見極めていないと言わざるを得ません。復興政策の在り方を根本的に見直す必要があると考えております。
日本維新の会は、大阪を中心とした自治体で、抜本的な政治改革、行政改革に成功してまいりました。しかし、国に目を移せば、地方議員の年金制度復活の動きがあったり、参議院の定数が増やされたりなど、政治改革、行政改革を放棄しているように思えます。規制緩和や行政システム改革は遅々として進まず、国民の税金負担だけ増やしている現状は、我が党の行政改革精神から見れば真逆の方向に進んでいると言えるものです。
その上、税金の無駄遣いや不適正執行が常態化している現状は、決して許すわけにはいきません。会計検査院により厳正な検査が行われるよう検査体制を見直すこと、また、各省庁において指摘事項の改善に向けた取組を強化することをここに強く求めます。
今後も、決算重視の参議院として課題改善に向けて真摯に議論を行い、納税者、消費者、生活者の視点に立った政治を実現し、規制緩和による既得権益の打破を推し進めていくことを国民の皆様にお約束して、反対討論といたします。
御清聴ありがとうございました。

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