「自衛隊基地の周辺で外国人が土地を購入することを規制すべきではないか」と法務省に質しました。
<議事録>
○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
昨日の決算委員会で、私、外国人の土地取引のことについて質問したんですけれども、法務省への質問もそろえていたんですが、時間切れになってしまいまして聞けなかったので、再度、今日、法務委員会でお聞きしたいと思います。
この外国の方の土地取引についてですけれども、民法上、契約の自由が認められておりますわけですが、外国の方も自由に土地の取引というのはできるということになっているのでしょうか。法務省の方にもう一回確認をさせてください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
民法上は、当事者は、「法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。」とされておりまして、現在の法律には明文の規定はございませんが、来年四月に施行されますいわゆる債権法改正後の民法五百二十一条第一項はこれを明文化しております。お尋ねの外国人につきましてもこの原則は妥当するものと考えられております。また、民法の三条二項でございますが、「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。」と規定されております。
このようなことから、民法上、外国人は原則として日本人と同様に自由に契約の締結等をすることができるものとされますので、土地の売買契約も民法上は同様に自由ということでございます。
○石井苗子君 規制する場合というのはあるんでしょうか。規制することというのはございますか。もう一回お答えください。
○政府参考人(小野瀬厚君) 一般論として申し上げますと、法律によって外国人の権利を制限しようとする場合には、権利の制限目的が正当であるか、制限手段が必要かつ合理的と言えるか否かの観点からその可否が検討されることになるというふうに考えられます。
ですから、例えば安全保障の観点など、特定の行政目的に基づいて、その目的達成に必要な範囲で外国人の土地取得を規制する立法をすることはあり得るというふうに考えられるところでございます。
○石井苗子君 ありがとうございます。
安保ということで、規制する目的が正当で、その手段が必要かつ合理的な場合には規制できるというように理解しました。
国会でこれ度々取り上げられていることなんですが、現在、法務省が管轄となっておりますこれは法律なんですが、大正十四年、古い法律でございます、ここにあります外国人土地法というものの中の四条で、国防上必要なる地区においては勅令をもって外国人又は外国法人の土地に関する権利の取得につき禁止又は条件付又は制限付きとすることができるとされております。
この法律に基づいて外国の方との土地取引を制限することは現在有効とされていますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
御指摘の外国人土地法でございますけれども、今御指摘ありましたように、大正十四年に大日本帝国憲法の下で制定された法律でございまして、一定の場合に、政令を定めることによって外国人や外国法人による土地に関する権利の取得を制限することができると規定しております。
ただ、この外国人土地法でございますが、制限の対象となる権利ですとかあるいは制限の態様等について政令に包括的、白紙的に委任しておりまして、この点で現在の憲法上問題が生ずる可能性がございます。
したがいまして、現行の憲法下において、この法律に基づいて外国人による土地取得を制限することは困難であるというふうに考えております。
○石井苗子君 事実上この法律の適用は無理だというふうに理解しますと、昨日の決算の委員会でも質問したんですが、安全保障上の観点から外国の方の土地取引を規制することにつきまして防衛大臣にも質問したんですけれども、例えば、法務省としては安全保障などの一定の行政目的から土地取引を規制するような法改正や立法を検討することというのはできないんでしょうかと。
やはり、今防衛省が調査をしているのは、防衛施設の敷地の境界線に隣接している、つまり、そこにべったりくっついている土地のみの調査をしているんですね。ですから、そのすぐ近くにあって、そこに大きな高いマンションが建てて、その土地を買ってそこに建てて、その防衛施設の中が全部見れるというようなことがあっても調査の対象にはならないというお答えがあったんですけれども、一般的な国民の気持ちからしますと、もう少し何か調査してくれないのかな、せめて土地を買い占めた目的ぐらい聞いてくれないのかなと思うんですけれども。
質問は、法制の、法の改正や立法を検討することできないんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、特定の行政目的に基づいて、その目的達成に必要な範囲で外国人の土地取得を規制する立法をすることはあり得ると考えておりますが、これはその目的と態様に応じて、それぞれの所管行政事務を担っている各省庁において検討されるべき問題であると考えております。
もちろん、その検討の際には、法務省といたしましては、民事基本法制を所管する立場から、各所管省庁との協議に誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。
○石井苗子君 つまり、法務省としては、その協議の要請があれば検討していただけるということでございますので、これまで防衛省など他の、防衛省に限らず他の省庁から協議の要請というのは過去にございましたでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) 具体的な協議のお話はございません。
○石井苗子君 これまではなかったということで確認させていただきました。
この件に関しましては、法務大臣にもお伺いしたいんですけれども、非常に法律的には難しいところがございます。一般的な人間が読んでいてもどちらが協議を先に出すのかなというようなことがあるんですが、入管法のときも、御質問したときに、大臣の御答弁で、法務省としては、外国の方の入国や在留の適正化を図る法律であって、その所管が法務省であると、なので、労働力の不足を補うという、それを対応するということでやっているのではないとはっきり区別しておっしゃったんですね。労働不足だからこういうことをやっているというような考え方ではないということを確認させていただいたんですが、今回も、法務省が所管している法律が、実際に、大正十四年ということで、戦前のことなので戦後は使われていないと。しかし、戦後もずっと存在はしているわけです。あるんですね、法律は。ずっと存在しているというその状況の中で、他省庁の方から法務省の所管する法律には口を挟むのははばかれるんだというような雰囲気があったんです、いろいろとレクを受けますと。
この矛盾があって、何とか安全保障という意味においてはどちらかがかじ取りをして国民の財産なり国土なりを守っていただきたいと、このように思うんですけれども、外国の方の土地法を、外国人土地法という法律があるんですが、これを改正しようとなった場合は、法を所管する法務省は一定の行政目的のための法整備、規制を検討できないのでしょうか。できないのであれば、法務省が防衛省に法改正の協議を持ちかけるのでしょうか。ちょっと教えていただきたいんですが、大臣、お願いいたします。
○国務大臣(山下貴司君) まず、外国人土地法におきましては、これは局長からも答弁させていただいたとおり、制限の対象となる権利や制限の対応について勅令に包括的、白紙的に委任しておるということで、これを仮に勅令を政令と読み替えるとしても、この包括性や白紙性から憲法上の問題が生じるような状況にございます。ですので、この外国人土地法を土台にして改正をということについてはなかなか慎重に考えなければならないと、困難ではないかと考えております。
ただ、他方で、これは局長も答えましたとおり、特定の行政目的に基づいて一定の範囲内で土地取得を規制する立法をすることはあり得るということでございますが、それは、特定の行政目的とは何なのか、どのような政策目的実現のために規制するのかといった点を含めて、それはその所管の行政事務を担っている各省庁においてまず検討していただくということになろうかと思っております。
昨年の臨時国会には御党の議員から法律案が提出されたものと承知しておりまして、法務省としては、国会における御議論の状況も注視しながら、民事基本法制を所管する立場から、必要に応じて、各所管省庁からその所管する特定の行政目的に基づいて何らかの規制をということであれば、これは協議に誠実に対応してまいりたいと考えております。
○石井苗子君 維新だけじゃなくて他党からも出ているので、この点につきましては今後も行動を起こしていこうと思っております。
どうもありがとうございました。質問を終わります。