民事執行法改正について質問ー法務委員会ー

民事執行法の差し押さえについて、法務省に聞きました。

<議事録>

○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
今日は採決までありますので、ちょっと私も、一般労働者から見ましてこの法案の改正に関しまして分からないところは全部教えていただきたいので、十六問ほど用意してまいりましたので、速急で参ります。
まず、改正案の二百六条でございますけれども、裁判所が情報の提供を命じた場合において、裁判所から情報提供を命じられた事実が市町村や年金機構から債務者の勤務先に伝わるということがあるんではないかと、これ読んでいて不安に感じたんですけれども、市役所が裁判所に対して給料の情報とかその情報を出すんですけれども、例えば勤務先に、あなた、こんな情報が来たんですけれども何かトラブルに巻き込まれていますかなんというようなことがあるんじゃないかと思って質問しております。
債務者の勤務先に伝わるということはありませんか。これ、法務省の方に、お答えください。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
この法律案によりまして新設されます債務者の給与債権に関する情報取得手続でございますが、債権者からの申立てによりまして、裁判所が、その勤務先ではなくて市町村に対して債務者の給与債権に関する情報の提供を命ずるものであります。
市町村の方は、この情報提供は裁判所に対して行うものでございますので、この手続の過程で御指摘の事実が債務者の勤務先に対して伝わることはないというふうに考えております。

○石井苗子君 普通にいけばそうなんですが、例えば勤務先が市町村に私の給与の報告書を出していなかったなんという場合でも、どのような扱いになりますか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
この法律案によりまして新設されます給与債権に関する情報取得手続でございますが、情報提供を命じられた市町村が陳述すべき事項は、当該市町村が債務者の市町村民税に係る事務に関して知り得たものに限られております。
したがいまして、債務者の勤務先が地方税法の規律に違反して債務者に関する給与支払報告書の提出を怠ったため市町村が債務者の勤務先を知り得なかった場合には、これは情報は提供しなくていいと、すなわち、当該市町村からは債務者の給与債権に関する情報は得られないということになります。
ただ、事案によりましては、給与支払報告書が市町村に対して提出されていない場合でありましても、市町村が債務者の市町村民税に係る事務を行う過程で、ほかの資料から債務者の勤務先を把握することはあり得ると承知しております。そのような場合には、市町村は、養育費等の債権者からの申立てにより裁判所から情報提供を命じられたときには、債務者の給与債権に関する情報を陳述すべきことになります。
ただ、ただいま申し上げましたとおり、給与支払報告書が提出されている場合ですとか、あるいはほかの資料から把握している場合に提出するというものでございますので、そういったものが知らない場合に、勤務先に何か照会するとかそういったことはないということでありますので、先ほどのとおり、この手続の中で勤務先の方に伝わるということはないものと考えております。

○石井苗子君 そうなんですけれども、二百六条の一項の一号ですね、提供する情報は既に知り得たものに限ると、こう書いてあるんですけれども、要するに、市町村が勤務先に新たに問い合わせることは想定はしていないということなんですが、ちょっと安心していられないんですよね。
そのような扱いになると、安心していられるという根拠規定のようなものがあるのかどうかということと、それから、市町村が勤務先に問い合わせることを禁止するというような規定というのは、この二つはないんでしょうか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
この根拠規定といたしましては、今委員の御指摘のとおり、二百六条の一項一号の下段でございますが、当該市町村が債務者の市町村民税に係る事務に関して知り得たものに限られているということでございますので、そこは法的な根拠があるというふうに考えております。
なお、市町村につきましても、この新しい制度につきましては、仮にこの改正法が成立した暁には、きちんとその内容につきまして周知徹底を図りたいと考えております。

○石井苗子君 私のような者が読んでいると、これは一体何を指しているのかという、曖昧な書き方があると大変不安になるんですけれども、ここはきちんと、勤務先に連絡が入ってきて上司から指摘されるなんというようなことがないように、また、そういうことが起きますとまたクレームが出てきますので、注意してやっていただきたいと思います。
同じく、改正案の百四十五条に行きます。これ、百四十五条の四項とか百五十五条の二項なんかを読んでおりますと、差押禁止債権というのが出てくるんですけれども、これ、差押命令の取消しを申し出ることができるというような、こういう段落なんですけれども、まず、差押禁止債権というのはどういうものがあるのかということと、差押禁止債権というこの趣旨を教えていただきたいんですが、これ、法務大臣にお願いできるでしょうか。

○国務大臣(山下貴司君) まず、差押禁止債権の種類について御説明申し上げます。
まず、民事執行法上の差押禁止債権としては、給料、賃金等の給与に係る債権や、次に、民法上の扶養請求権など債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権、そして、三つ目のカテゴリーとして、退職手当等に係る債権がございます。
差押えが禁止される趣旨については、民事執行法においては、これらの債権が債務者の生活を維持する上で特に重要であることに鑑み、権利の実現を求める債権者と生活の維持を要する債務者との間の相反する利益を調整するため、原則として、これらの債権に基づく給付の四分の三に相当する部分については差押えを禁止することとされております。
このほか、民事執行法上ではなくて、例えば年金の給付を受ける権利や生活保護費を受ける権利など個別の法律において差押えが禁止されている権利がございまして、その趣旨はその法律に規定されているところでございますが、受給者の生活維持への配慮など、それぞれの法律の趣旨によるものでございます。
具体的な差押禁止の効果につきましては、要すれば民事局長に答弁させたいと考えております。

○石井苗子君 ありがとうございます。
大体、その給料や年金、生活保護費など債務者側の生活を維持するためということなんですが、もうちょっと突っ込んで考えますと、年金や生活保護の費用などの差押禁止債権が、銀行の預貯金口座に振り込まれた直後に差し押さえることは、制度上これできることになるんでしょうかしら。これは法務省の方に伺います。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
給与債権等の差押禁止債権に基づいて給付された金銭が預貯金口座に振り込まれた場合には、原則としては、その振り込みによって生じた債務者の預貯金債権を差し押さえることはできるというふうに考えられます。

○石井苗子君 そうすると、改正でこういうことがあるんですけれども、ちょっと調べたところ、百五十三条の差押禁止債権の範囲の変更というところがあるんですけれども、これ細かいですね、十六ページ辺りにあるんですけれども、この改正で情報取得手続というのがあるんですが、その情報取得手続が設けられると、差押禁止債権が預貯金債権になった直後に差し押さえられるんですね、今の話だと、ちょっとややこしいんですけど。ということが確認されたので、そうなると、先ほどの債務者の生活の維持が困難になってしまうということが私考えられるんじゃないかと、そういう事態起きるんじゃないかと思うので、それで、百五十三条の差押禁止債権範囲の変更というところの規定を読んだんですが、これ余り活用されていませんよね。うなずいていらっしゃるから、多分そうなんだろうと思うんですけれども。
そうすると、利用実績はどのようになっているのか、ちょっと教えていただけますか。最高裁の方、お願いします。

○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
民事執行法第百五十三条の差押禁止債権の範囲変更の申立て事件につきましては、全国的な統計はございませんけれども、東京地裁、東京地方裁判所の本庁における平成二十九年の状況について調査した数字がございまして、これによりますと、差押禁止債権の範囲変更の申立て事件の既済件数は十六件ということになっております。

○石井苗子君 十六件なんですね。
実際に申立てが認められた、範囲が変更されたことはどのくらいの割合であったのかも教えていただけますか。

○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 平成二十九年の一年間で東京地方裁判所本庁で既済件数十六件ございましたけれども、そのうち、一部でも認容されたものは五件でございました。

○石井苗子君 私はゼロかと思っていたら、あったんですね。
ということは、しつこいようですが、改正案の百四十五条の四項で、その差押命令の取消しの申立てというのを教示できるということになっておりますけれども、これはこれまでは、改正案ですから、教示していなかったという、大変これ不親切だと思うんですが、これまでは教示していなかったんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
現行法の下におきましては、民事執行法百五十三条第一項又は第二号に規定されております差押命令の取消し等の制度につきまして、差押えを受けた債務者から問合せがあった際には、制度の説明や申立てに必要な資料等の説明を行っているものと承知しておりますけれども、裁判所の方から積極的に債務者に御説明するということまでは行っていないのではないかと思われます。
本法案が成立しました暁には、その趣旨を踏まえて適切な教示を行ってまいりたいと考えております。

○石井苗子君 これ、私のような人間からすると、どのようになっていますかってわざわざ言うというのはとても勇気が要ることで、面倒くさいことでもありますので、これまでは非常に不親切だったけれども、この改正で少し親切になるようにしていただけますね。うなずいていらっしゃいますから、次の質問に移ります。
今度は、改正案の方の七十一条の、先ほどから出ております暴力団関係なんですけれども、これも私もちょっと気になるんですけれども、まずそういうことはないだろうと思って読んでいると、ありそうな感じがしてきて不安になるというところなんですが、暴力団関係者が例えば繰り返し入札に参加すると、これ、売却、その不許可決定も同時に繰り返されることになるんじゃないかというふうに読めるんです。
不動産競売手続が長引くことになってしまうんじゃないかという、これ素人の考え方なんですが、このような執行をするときの妨害ですね、何でこんなに長引いてしまう、毎回手続が繰り返されているという。これ、執行妨害を防ぐ方法というのはあるんじゃないかと思うんですけれども、刑事罰以外に考えていらっしゃいますでしょうか。法務省の方、お願いします。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
暴力団員があえて入札をして売却許可決定がされた場合に、どこまでその競売手続、どこからその競売手続をやり直すべきかという点については、これは解釈に委ねることとしております。これは、現在の法律の下におきましても、例えばその最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格がなかったような場合がございますが、そういった場合にどこからやり直すかという点と、そういう取扱いと同様でございます。
したがいまして、例えば、もう一回入札期間を定めて入札からやり直すのではなくて、当初の入札までの手続を前提に、再度開札期日、これを開くこととするなど、執行裁判所が個別の事案に応じて競売手続に係る規律の趣旨に沿った運用をすることによってそういった執行妨害の繰り返しを回避することが可能になるというふうに考えております。

○石井苗子君 つまり、最初の人じゃなくて二番目の人からやってくれるという解釈でいいですか。そこをもう一回お願いします。

○石井苗子君 要するに、刑事罰による抑制というか抑止はあるんですよね。あるけれど、厳格ではないけれども、暴力団関係者を排除する仕組みを設けているという理解で正しいでしょうか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
刑罰による担保は虚偽の陳述をした場合でございますので、そういう意味ではそれも一つの担保でございますけれども、手続的にそういった繰り返し入札をして妨害されるという点につきましても、先ほど申し上げましたような運用による回避ということが可能であると考えられます。

○石井苗子君 運用による回避ということで、読んでいて、今御説明していただくと、何となくちょっとは詳しく分かるんですけれども、こういう法律の文章というのは非常に曖昧な表現があると、一般の方、私も含めてだんだん不安になってくるという文章が多いんですが。
続きまして、先ほどから出ておりまして、子供の引渡しの強制執行についてなんでございますが、これは改正案の方の百七十五条の八項を見ていただきたいと思うんですが、曖昧な表現があると一般の人間にとっては非常に迷惑なんですね。子の引渡しの強制執行において、「子に対して威力を用いることはできない。」と書いてあるんですけど、威力というのはどういうふうに定義をしていらっしゃいますか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
ここで言う威力でございますけれども、人の意思を制圧する程度の有形力の行使をいうものでございまして、一切の有形力の行使が禁止されるわけではないものと考えられます。
具体的には、例えば子供が口頭で拒絶の意思を示していても身体的な抵抗までは示さないと、こういう場合におきまして、例えば執行官が子供の手を引いたり肩を押したりするなどして子供を誘導することは、子の意思を制圧しない程度の有形力の行使として許されるものと考えられます。

○石井苗子君 つまり、そこは、強制か暴力かというところは、済みません、具体的な話でいうと、誰が判断するんですか、現場で。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
実際にその現場で執行を行う執行官の判断でございます。

○石井苗子君 分かりました。
ちょっと法務大臣にお伺いしますけれども、この執行時点で、子供のことですから、変わったと、あのときはそう思ったけど今は違うというのがあると思うんですね。子供の意思が変化していて、執行官が説得に当たって、あくまでも子供が拒否するときでも、あのときそう決まっていたんですからということで、子供の意思に反して執行するということがあっていいのか。いや、ない方がいいのかもしれませんが、子供の意思が現場で変わっているんだから、それはもう、じゃ、現場で変えましょうということはしないのか。そこら辺は、お伺いしたいんですけど、よろしくお願いします。

○国務大臣(山下貴司君) まず、意思が変わった場合にどうかということでございますが、一般論として、子の引渡しを命ずる裁判がなされた後に事情の変更があった場合には、債務者が家庭裁判所に対して親権者、監護権者の変更の審判の申立てをすることが考えられます。こういった変更の審判の申立てがされた場合には、家庭裁判所は、改めて現時点での子の意思も考慮に入れた上で当該申立ての当否について判断することになります。
他方で、親権者の変更の審判等がなされず、従前の債務名義が維持されている場合には、一般には、その債務名義の内容というのを実現するということが子の利益に資するということで判断されていると考えられるところでございまして、現行の執行実務においても、子が単に口頭で債権者の元に行くことを拒否していることだけでは執行不能とはならないとされているものと承知しております。
ただ、本法律案では、子の利益保護の観点から、執行官が子に対して威力を行使することを禁止していることから、執行官が執行を拒絶している子を威力を用いて押さえ付けてまで執行を継続することはできないということになります。そのため、個別事案における具体的な事情にもよりますけれども、子供が肉体的、身体的に抵抗を示している場合には、執行不能とされる場合もあり得るものと考えられます。

○石井苗子君 あらゆる資料とか論文を読んでいると、そこの問題が随分上がってきているんですね。法律では威力というふうに書いてあって、先ほども手を引くとか肩を押すとかと書いてありましたけれども、果たして子の引渡しの強制執行において有形の形の力の行使というのはどの程度まで許されるというふうになっているのか。もう一度お聞きいたします。どの程度まで許されることになっているんですか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
先ほど申し上げたとおりでございまして、威力といいますのは人の意思を制圧する程度の有形力の行使をいうものでございますので、それに至らない有形力の行使が禁止されるわけではないものと考えております。
具体例としましては、先ほど申し上げましたような、子を誘導するために子の手を引いたり肩を押したりするなどの行為なんというものはこの威力というものには当たらないというふうには考えられます。

○石井苗子君 もう少し表現を変えた方がいいんじゃないかなと私は思うんですけれども。手を引くでも肩を押すでも大分違うので、誘導するとか手を差し伸べるとか、優しく肩に触れる程度ならこれは威力ではないというぐらいが、どの程度まで許されるというところをもう少し細やかにしないと、この報告書の中に書いてあるような問題がなかなか解決できないんじゃないかと。定義付けるということは、ある意味においてはとても大事だと思うんですが。
前回の質問で私聞き逃したところをこれからフォローさせていただきます。
先ほどから出ております調査官と執行官という、こういう関係でございますが、各々のコミュニケーションをそれぞれが交わして現場に向かうとか、調査官でしたら、家庭裁判所の中で子供の状態、親の状態を把握するということはとても大事なことだと思うんですが、私はちょっと、心理学や教育学などの専門的知見及び技法というふうに書いてあるんですが、具体的にどのようなものでしょうか。
例えば、私どもがやっております心理テストというのは十六種類ございまして、細かく言いますと。家庭裁判所の調査官という方々は非常に優秀な方々ですよね、なかなか試験が難しいというのもよく分かったんですが、人間の行動にまつわる専門的な知見、それから面接の仕方、相手の真意を探るとか察する方法としての心理テストの方法、具体的に技法とはどのようなものをやっているんでしょうか。心理テストでしたら何使っていらっしゃいますか、教えてください。

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
家庭裁判所調査官は、親と子の関係性や非行のメカニズムを解明するため、臨床心理学、発達心理学等の心理学や家族社会学、教育学等の行動科学に基づく専門的知見を身に付けております。また、こうした知見を踏まえまして、調査面接のための適切な質問の仕方ですとか観察のポイントといった面接の技法や、言葉のやり取りだけでは理解が困難な場合にも対応できるような心理テスト等の実務上の知見や技法も身に付けて活用しているところでございます。
子の意思を把握する際を例に取りまして少し敷衍させていただいてもよろしゅうございましょうか。面接の技法を活用して子の話しやすい環境を整えたり、言葉に表れない表情やしぐさを観察したりしました上で、発達心理学等の知見を用いて、これらと背景事情とを総合的に考察して評価しているということになります。

○石井苗子君 例えば箱庭療法でしょうか、それともロールシャッハだとか、そういうことを聞いているんですけれども。

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 今御指摘のような心理テストについては、事案に応じて採用しているというふうに承知しております。

○石井苗子君 これもやっぱり決めておいた方がいいと思います。もう少しちゃんとしないと、相手の行動にまつわる専門的知見、面接の仕方というのはこれ曖昧で、どういうものなのか、相手の真意を察する方法というような望洋としたのじゃなくて、これこれの方法を用いてやりますというようなことで書かれなきゃいけないし、そういう人を集めなきゃいけないと思うんです。
公認心理師のこの間の国家試験は、大体二十四分野にわたって、その一分野が十七セクションにわたって試験が行われるわけで、専門的知見とか技法というのは調査官採用試験で判定できるようになっているということなんですけれども、裁判所職員総合研修所で一体どのように習得するようになっているのかというようなことも知りたいので、研修の内容について最高裁判所の方からちょっとお聞きしたいんですが。研修の内容です。

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
採用の在り方から少し敷衍して御説明させていただきたいと存じますけれども、家庭裁判所調査官につきましては、裁判所職員採用総合職試験家庭裁判所調査官補というものに合格をしまして家庭裁判所調査官補に採用された後に、約二年間の家庭裁判所調査官養成課程を修了した者、これを任命しております。
家庭裁判所調査官には、法律学に加えまして社会学、心理学、教育学等の行動科学に基づく専門的知見が求められておりますことから、この採用試験におきましては、調査官に必要な専門的知識や技法をこの養成課程で習得し任官するための基本的な素養が身に付いているかどうかということを問うための試験が含まれておりますほかに、人柄、資質などについての人物試験を実施しているところでございます。
また、採用後の二年間の養成課程でございますけれども、こちらにつきましては、裁判所職員総合研修所における約九か月の合同研修のほか、各地の家庭裁判所におきまして約十四か月の実務修習をいたしておりまして、行動科学の最新の知見及び家庭裁判所調査官の実務上の専門的な知見や技法を習得させているところでございます。

○石井苗子君 すごい教育課程で、これ、お給料ってどのくらいで働いていらっしゃるんですか。

○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
大卒程度区分の総合職試験ということに対応する者としての初任給といたしまして、二十二万円余りということになっております。

○石井苗子君 ちょっと専門職とは言えないと思うんですが、次の質問に行きます。
改正案の百七十四条です。子の引渡しの強制執行の場合、現場でということですけれども、家庭裁判所の調査官の意見を聞いたり調査官の同行をお願いしたりという仕組みがあるのかどうかということなんですが、これはあるということでよろしいでしょうか。もしあるとしたら、どういう形なのかということと、調査官と執行官にその情報の提供というのはあり得ると思うんですが、調査官が執行官と家庭裁判所の会議に同席したりというようなことでその一件につき話し合うということは、どのくらいのケースでやっていらっしゃいますでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
いわゆるハーグ条約実施法に基づく子の解放実施に関しましては、最高裁判所規則によりまして、子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、執行官に対し、情報の提供その他の必要な協力をすることができるというふうにされておりまして、その際、家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができるものとされております。
国内の子の引渡しの強制執行におきましても、この規定を踏まえまして、執行官と家庭裁判所とで事前のミーティングを行いまして、その際には家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、その生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項を情報提供するなどしていることが多いものと承知しております。本法案成立後も、引き続きこのような運用がされるものと考えております。
他方、執行現場への家庭裁判所調査官の同行につきましては、家庭裁判所調査官は基本的には家庭裁判所における家事事件の手続において調査等を行うものとされておりまして、先ほど述べました執行官に対して意見を述べるという役割は、例外的に特別に認められたものとされております。
したがいまして、意見を述べさせる以上に執行の現場に同行させるということは認められておりませんで、そのような仕組みを設けることは困難であろうというふうに思われます。

○石井苗子君 調査官は同行しないということで理解しました。
執行官もただのオブザベーションだけにならないように、心理的なこともちゃんと観察して意見ができるように、それはその調査官の意見や情報交換に基づいたものになっていくようなことを期待します。
最後の質問ですが、家庭裁判所調査官の役割の重要性というのが増していくと思いますけれども、増員を要求することは考えていらっしゃいますでしょうか。家庭裁判所。

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
家庭裁判所調査官の役割の重要性につきましては、私どもも非常に重要なものというふうに考えておりますけれども、この子の引渡しの執行の場面に関して考えてみますと、今ほどの答弁にもございましたとおり、既に現状の実務におきましても執行官に対して意見を述べるといった役割はこれまでも担ってきておりますので、本改正がなされた後も、基本的には現有人員の有効活用によって引き続きその役割を果たすことができると考えてはおります。
ただ、いろいろ様々な法改正もある中で、事件動向は変わっていくということもあり得ますので、そうしたことも含めまして、事件動向、事件処理状況等を踏まえまして、必要な人的体制の整備には努めてまいりたいと考えております。

○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。