特別養子縁組について質問(2日目)―法務委員会―

6月6日の法務委員会では、特別養子縁組について2回目の質問を行いました。養親となる者と子どもとのマッチングをいかに効果的に行うかがポイイントです。

<議事録>

○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
本日ですけれども、日本維新の会はこの民法の一部を改正する法律案につきまして反対の立場を取っておりますが、本日はその反対する背景にある点を整理して質問させていただきます。
今回、三十年以上掛かって民法の見直しがなされたということであれば、現時点での日本社会において子供の幸せを考え、特別養子縁組制度がどうあるべきかということについて質問してまいります。その中には、我が党の反対について疑問を感じた点が含まれていると思いますので、よろしくお願いいたします。
今回の改正の第一の目的が、虐待に遭っている子供たちをとにかく速やかに救っていくことができるかどうかなんでございますが、そこの点について、そのデータの取り方で質問させていただきます。
厚生労働省政府参考人の方にお伺いしますが、先ほど、午前中に小川敏夫議員からも質問が出ておりましたけれども、虐待のデータの取り方なんですけれども、児童養護施設等に虐待を受けていた児童が多数入所しているということが今回の民法改正の背景にあるわけですけれども、先日の参考人の方からの御意見を聞いておりますと、まず、児童虐待自体が過去より増えているのか、あるいは相談件数が増えているだけなのか、もっと言えば、以前から児童虐待は多かったと言えるのか、児童養護施設に入所している子供たちが虐待が多いのか、こういうのの一つずつデータがあるのかどうか、お知らせいただきたいんですけれども、通告してありますので、よろしくお願いします。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
まず、児童虐待自体が増えているのか、相談件数だけが増えているだけなのかというふうなお尋ねがベースとしてあったかと思いますが、平成二十九年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数は過去最多の十三万三千七百七十八件でございまして、これ平成十二年、児童虐待防止法が施行されたわけですが、その前の直前、平成十一年度と比べまして約十一・五倍となっております。
ただ、虐待自体が増えているのかというふうなことについては必ずしも確かに明らかではなく、引き続き分析が必要ではあると考えておりますけれども、平成二十七年七月から開始をした児童相談所全国共通ダイヤルの三桁化、いわゆるいちはやくの一八九の広報ですとか、マスコミなど事件報道によって国民の皆さんや関係機関の意識が高まったことですとか、あるいは警察を始めとした関係機関との連携が強化をされたということに伴う通告の増加なども影響して、重篤な状況に至る前の早期につながっているケースも増えているのではないかというふうには思っております。
ただ、その一方で、子供の安全確保のために一時保護にまで至ったケース、これを見ますと、相談件数の伸びほど急激な伸びではございませんけれども、過去十年間で、十年前は一万八百六十九件でございましたけれども、直近では二万千二百六十八件、約二万件強というところまで増えてきているというところでございますので、こうした状況から見れば、なおやっぱり深刻な状況であろうというふうに考えております。
○石井苗子君 現在において、日本社会が虐待に関しての関心が高まっているということ、それから意識が高まっているということ、そして深刻に至る前に救出することが必要であるということのそういう意識が高まってきているので、今回の法の改正はそれに押されて変わってきた、社会的な意識の変化に伴って民法が変えられたということである、これはそうだと思うんですが。
最後の質問ですが、養護児童施設に入所している今の子供たちは、虐待によって入所した、パーセンテージでもいいんですが、数が多いのか、全国的にどうでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
現在、児童養護施設に入所をされている子供のうち、虐待を受けているお子さんが約六割おられます。乳児院の場合では、同じ数字ですけれども、乳児院の場合では約四割というふうになってございます。
○石井苗子君 六割、乳児院が四割。この統計から見ますと、物すごく日本で、実親から虐待が増えている、子供たちが、急にここに来て増えてきたから、これは社会の変化に伴って何とか民法も変えていかなきゃならない。皆様よく御存じだと思いますが、法律の中で基本になる法律ですので、そうちょくちょくは変えられないのではないかと、私、大変素人なんですが、そう思うんですね。ですので、今回はこういった社会の意識の高まりから変わってきたものだと考えていきます。
そうなりますと、今度は厚生労働省の政府参考人の方にお聞きします。
虐待の定義です。身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、これ無視ですね、心理的虐待と、こう書いてある中の、民法八百十七条の六、虐待、括弧閉じ、悪意の遺棄というのは、これは定義はどうなっていますでしょうか。あっ、ごめんなさい、厚生労働省の方じゃなくて、これは法務省の政府参考人の方にお伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) 私の方から民法における虐待の、あるいは悪意の遺棄の定義について申し上げますと、今御指摘いただきました民法八百十七条の六でございますけれども、これは虐待というのがございますが、これは身体的又は精神的に過酷に取り扱うことを意味するものでございます。また、その悪意の遺棄といいますのは、これは正当な理由がないのに著しく監護養育の義務を怠ることを意味するものと解されております。
○石井苗子君 そうなりますと、やはり同じく八百十七条の六に書かれております、その他養子となる者の利益を著しく害する事由というのは、これまでどんな事由がございましたか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
先ほど述べました八百十七条の六の父母による虐待や悪意の遺棄がある場合、これは養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合の典型例であると言えますけれども、その他の場合として考えられるものといたしましては、虐待あるいは悪意の遺棄にまでは該当しないけれども、子供の健全な養育の著しい妨げとなる事由がある場合でございまして、例えば、子供が父母から放任されていて、その結果、子供の利益が著しく害されている場合などが考えられるということでございます。
○石井苗子君 放任ですね。
そうしますと、実の親から今度は虐待を予防する施策というのがあるはずなんですが、実の親からの虐待を予防する施策というのをちょっと整理してお願いしたいんですが、厚生労働省の政府参考人の方に、どのようなものがあるか御紹介いただけますか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
そもそも虐待をする親の背景でございますけれども、私ども、自治体の職員向けに作っております子ども虐待対応の手引きの中では、保護者が子供を虐待する要因といたしまして、子供時代に大人から愛情を受けていなかったとか、生活でのストレスが積み重なって危機的状況にあるとか、あるいは社会的に孤立化をして援助者がいないとか、それから予期せぬ妊娠など親にとって意に沿わないような妊娠であったとか、そういうふうな状況の要因があるというふうなことですとか、それから、私ども社会保障審議会の下で専門委員会を立てておりまして、その中で死亡事例の検証も毎年行っておりますが、死亡事例における加害親、養育者の心理的、精神的な問題といたしまして、やはり育児不安とか養育能力の低さ、こういったところがかなりの割合を占めているということが分かっております。
このような観点から、児童虐待を減らすというためには、やはり予防の観点が重要だろうというふうに考えておりまして、孤立しがちな子育て家庭をできるだけ早期に発見をして、具体的な支援につなげていく必要があろうかというふうに考えております。
こういった観点から、妊娠期からの必要な支援につなげられるように、切れ目のない支援を行う子育て世代包括支援センターの設置促進ですとか、予期しない妊娠で悩む妊婦さんに対しまして、女性健康支援センター事業ということで産科の同行受診も含めた支援を行っております。また、まずはお子さんが生まれたときの乳児の全戸訪問ですとか、こういったことについても取り組んでいるところでございます。先ほど申し上げました全国共通ダイヤル一八九の周知ですとか、こういったことについても取り組んでいるところでございます。
こうした取組によりまして、子育てに悩み、孤立しがちな家庭を早期に発見をしまして、適切な支援につなげていきたいというふうに考えております。
○石井苗子君 そういったことがなかなか効果を出していないから、こういう状態になっているんだと思いますが。
午前中にも伊藤孝江議員や小川敏夫議員からも御質問が出ておりましたけれども、子供が親を選べるかということについて、子供の権利がなければ親を選べないのだという、この視点に基づいて質問をさせていただきます。個人的な興味があるところでもあるんですが。
法務大臣、趣旨説明で、特別養子縁組を成立させることにより、家庭において養育することが適切な子供も少なくないと指摘されておりますと、こう書かれてあるというか、述べていらっしゃるんですが、ちょっと文章がよく分からない。家庭において養育することが適切でない場合というのは、どういう場合なんでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。
例えば、社会的養護を要する子供のうち、既に相当長期間施設において養育を受けて、施設の職員やほかの子供との間に家族的な信頼関係がもう既に形成されていると、学校等を含めその地域との関係も密になっているような子については、里親や養親の下での養育を開始するためにそれまでの養育環境から引き離すことが必ずしも適切でない場合があるんだろうと。そういった場合には、この家庭において養育することが適切でない場合にも当たろうというふうに考えられます。
○石井苗子君 分かりました。
そうしたら、今度は、子供が虐待をされていた場合において、子供の方が親を替えたいと思った場合、現法律上ではどのような手段がありますか、ないですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
まず、法律上の親を替えるという意味では、特別養子縁組ということが一つ考えられるわけでございますが、現行法では、この特別養子縁組は養親となる者の請求によって成立させることができるものでございまして、子供自身が特別養子縁組の成立の申立てをすることはできないわけでございます。
ただ、虐待されている親の言わばその監護から逃れると、こういう意味でその親を替えるといいますか、そういう方策があるかということになりますと、これは、子供の方は虐待されている場合には家庭裁判所に親権の喪失又は停止の審判を申し立てることができまして、その請求を認める審判がされて親権を行使する者がなくなった場合には未成年後見人が選任されるということになりますので、こういった手段によりますと虐待をしている親の監護下から逃れることはできるわけでございます。
またさらに、虐待を受けている場合には、子供の方は学校の先生ですとか地域の住民に助けを求めるということが考えられるわけでございますが、児童虐待防止法におきまして、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかに児童相談所等のしかるべき機関に通報しなければならないこととされております。したがいまして、これによって児童相談所等による保護を受けて、虐待を受けている状態から脱するということもできるというふうに考えられます。
また、御指摘のような事案では、このような手段により子供が児童相談所等に保護された後に、児童相談所のあっせんによって養子縁組がされて新たな家庭で養育されるようになることも考えられるところでございます。
○石井苗子君 やっぱり、子供の方から助けてくれというように言い出していって、それを誰かがすくい上げない限り助けてもらえない。よく、父親が外に出ていっているときに、学校に行けと、母親が、学校に行って先生に助けてくれと言えと、その方法を選ばせようとするんだけれども、なかなかこの母と子供が怖くてそれができないというような、いろいろなところでそういう話も聞くんですけれども、子供がイニシアティブを持って親を替えるということは妥当ではないというのがこの養子制度の背景にあるのではないかと。いや、ここがすごく引っかかっているところなんですが、想定、温かい家庭である者を選んでいるのだから、そこでちゃんとこれから幸せになれるのだと、これを子供がイニシアティブを取って親を替えることと一緒ではないと思うんですけれども、この子供がイニシアティブを持って親を替えるというのは妥当でないというのが養子制度の背景にある考え方なのかどうか、これは法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(山下貴司君) 子供がイニシアティブを持ってというのは、まあ多義的な意味はございますけれども、仮にこれ、親を替えるということが、これは法律上の親子関係を終了させるということにもなりまして、それを子供の意思のみに基づいて行うということであれば、これは法律上の効果としては非常に重大であって、その判断を、判断能力が必ずしも十分でなく精神的にも成熟していない子供の意思のみに基づいてそういった重大な法律関係、法律効果をもたらすということは、逆に子の利益の観点から適切でないのではないかと考えられます。
他方で、これが子供の意思も尊重しつつということなのであれば、例えば、今回の改正後は、児童相談所長が子供の意思を確認した上で特別養子適格の確認の申立てをするということが可能になるということであるということで、この場合には、児童相談所長は適切な養親候補者を探すという手続に乗ることになります。
そういったことから、もとより子供の意思というのは当然尊重され、確認されるわけでございますけれども、その子供の意思のみによって親子関係、法律上の親子関係を終了させるというところは、なかなか我々も慎重に考えなければならないということで考えているところでございます。
○石井苗子君 そこなんですよね。諸外国は何で子供の同意なんというのを、アメリカなんか書面で求めているんですけれども、どうしてそんなことをしているんだろうかと、なぜ日本はしないんだろうかという。
これはやっぱり、今大臣がおっしゃったように、十五歳未満、まあ十二歳でも十三歳でもいいんですが、ここでいいかということを子供の同意で決めてしまうと、そこでは法律は担保されたことになりませんですよね。考え方として、子供の意見で変わってしまうので、親に対して、法律を担保して完全に特別養子縁組として成立できますからということができなくなってしまうので、子供の同意というのは、その子供の、その子の判断でころころ変わるようなことにはしないようにしていると。
となりますと、養子となる者が十五歳に達しているときはその者の同意が必要ですというふうに書かれていますが、審判において同意が真意に基づくということをどのようにして確認するのでしょうか。法務省の方、お答えください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
今委員御指摘のとおり、この法律案では、改正後の民法八百十七条五の第三項でございますが、十五歳に達している者については、その者の同意がなければ縁組を成立させることができないとしております。この同意が真意に基づくものであることにつきましては、基本的に、裁判官が特別養子縁組の成立の審判の手続の期日において確認するか、あるいは家庭裁判所調査官が調査の手続を通じて確認することとなるものと考えられます。
この点につきまして、特別養子縁組が成立した場合には、実親子関係の終了という重大な効果が生じることからいたしますと、家庭裁判所は、十五歳に達した養子となる者が特別養子縁組の成立について同意をしている場合には、その同意が普通養子縁組との違いや親族関係の終了といった特別養子縁組の法的効果を的確に理解した上でされていることを確認する必要があるものと考えられます。そのため、事案ごとの判断にはなりますけれども、家庭裁判所は、同意の有無を確認する過程で、普通養子縁組との違いですとか親族関係の終了といった特別養子縁組の法的効果を説明することになるものと考えられます。
○石井苗子君 これはやはり親が裁判官や調査官のその今の真意の判断に基づいてどう思うかであって、子供がイニシアティブというのは多義にわたるとおっしゃいましたけれども、やっぱり子供がどう思うかということについては、陳情を聴くとか意見を十分に尊重するとかということであって、子供の権利はそこには関与していないということになるんですが、実親の同意というのがありまして、その同意の撤回が二週間に制限されています。この根拠は、根拠といいますか、理由は何でしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、特別養子縁組の成立には原則として実親の同意が必要でございまして、現行法では、実親は一旦同意をしても特別養子縁組の成立の審判が確定するまで撤回することができるものと解されておりまして、このような現行法の下での取扱いについては、養親となるべき者が実親による同意がいつ撤回されるか分からないまま養子となるべき者の試験養育をしなければならないという問題があるということが指摘されていたところでございました。
そこで、本法律案では、まず第一に、同意の時期に特段の期限を設けず、実親は熟慮を重ねた上で同意をするか否かの決断をすることを可能とした上で、まず十分な熟慮をしていただいた上で、そして第二に、撤回が制限される同意というのは、実親が裁判所の審問期日においてした同意か、又は家庭裁判所の調査官の調査を経て書面でした同意に限定するという限定的な手続によることとした上で、そのような手続によってした同意については、同意した日から二週間が経過した後は撤回することができないこととしたものであります。
この二週間という期間というのは、家事事件手続における不服申立ての期間等を考慮して定めたものでございますが、先ほど申し上げたように、同意までの期間を設けておらず、熟慮等の期間が確保されるということと、あと同意については厳格な手続によるということとしているところから二週間ということで、それを前提に二週間にしているというところでございます。
○石井苗子君 いや、もうちょっと根拠がはっきりしているのかなと思ったんですけれども。
実親というのが精神的に不安定だったような場合、動揺しているような場合、二週間に制限するというのが期間が短いように思うんですが、なぜ二週間なんだろうかと。期間短くないでしょうか。これはどうですか。
○国務大臣(山下貴司君) 先ほど申し上げたように、実親には同意する前に熟慮する機会がございます。そしてまた、その同意の手続というのは厳格な、例えば裁判所の審問期日においてした同意か家庭裁判所の調査官の調査を経て書面でした同意に限定されるということで、そういった同意の過程において、これが真意に基づくものか、あるいは精神的に不安定なものではないものかどうかということも検討され、当然考慮されるものと考えております。
そうしたことからすれば、こういった厳格な要件を満たす同意に限って二週間の経過をもって撤回を制限することには合理性があるものと考えておりまして、期間が短過ぎるということはないのではないかと考えております。
○石井苗子君 何かもうちょっと、心理学的にどうだとか医療的に治療をする場合はどうだとかということ、何かエビデンスに基づいたお答えがあるのかなと思ったんですけれども、この点につきましてもお答えがないのと、それから、子供がそこで、その間子供はどうしているのかというようなことの、なぜ二週間かと、この辺もよく分からないんですね。
父母に虐待があった場合です。次の質問に移りますけれども、父母の虐待があった場合、特別養子縁組の成立に父母の同意は不要となると書いてありますが、虐待があったかどうかというのはどのように判断しているのか、現状で、最高裁の方にお答えいただきます。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
家庭裁判所におきまして、実父母による同意を不要とする前提としまして、養子となる子に対する実父母による虐待があったかどうかを認定するに当たっては、養子となる子やその実父母から丁寧に事情を聴取しますほか、児童相談所、病院、警察等の関係機関からも客観的な資料を取り寄せるなどいたしまして、多角的な観点から慎重に判断しているものと承知しております。
○石井苗子君 第一義が虐待に遭っている子供を救うということであれば、このように、実の親、養子になる者、今のお答えでしたね、児童相談所からもいろいろ事情を聞いて、総合して、総合的に判断していらっしゃるというふうに理解しましたけれども、こういうふうに一つ一つ丁寧にやっていけばいいのではないかと思うんです。
その意味におきまして、虐待がなかったのにあったと判定された場合、親の、実の親の同意なしに特別養子縁組がされ、親子関係が終了してしまう事態もあると、そう考えることができると思うんですが、その場合、先ほど実親というのは非常に精神的に不安定だと私申しましたけれども、そういったこともあると思うんですが、なかったのにあったと判定されたような場合、その場合の実の親の救済方法というのはございますか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、家庭裁判所は、実親による虐待があるとの認定をした場合には、その実親の同意がなくとも特別養子縁組を成立させることができるわけでございます。
ただ、その手続の制度といたしまして、実親の同意なく特別養子縁組を成立させるには、裁判官が審問の期日において当該実親から直接陳述を聴かなければならないとされております。ですから、制度上、実親に意見を述べる機会が保障されているわけでございます。家庭裁判所は、このように、実親の意見を聴いた上で、先ほど最高裁判所の方から答弁がございましたとおり、証拠を適切に評価して、虐待の有無について事実認定をしているものと承知しております。
また、その特別養子縁組成立の審判の確定後に、例えば偽造の証拠等によって不当な事実認定がされたというような場合、すなわち民事訴訟法に規定するような再審事由、こういうものがある場合には、この審判に不服を申し立てる方法としては、再審という手続はございます。
○石井苗子君 特別養子縁組の制度というのは、いいところもありますけれども、非常に慎重に考えなきゃいけないのは、やはり実の親との縁を切断されてしまう。これ、兄弟がいたら兄弟とも会えなくなる、祖父母がいたら祖父母とも会えなくなるということ、そしてそれを子供が知らないというような状態であるという、一人の人間に対してそういう環境を、片っ方では法律的な担保を確保しなきゃならないという理由がありますが、片方では間違いということがあったときに非常に大きな精神的に負担になるわけなんです。
こういったことをもう少しきめ細かに考えていかなければいけないのではないかという意味で政党としては反対という立場を取っているわけですけれども、私どもは、決して施設の子供たちを虐待から救うことに反対しているわけでもございませんし、それから虐待を受けている子供たちを救える範囲を広げる法案に反対しているわけでもないのです。ただ、この縁を絶縁するということが及ぼす社会的な影響ということについてもう少し議論を重ねて、例えば日本の単独親権というものも考えていってからではいけなかったのかなというところで反対の立場を取ったということなんですけれども。
まだ二分ぐらいありますけれども、ちょうど時間がいいので、ここで終わらせていただきます。
ありがとうございました。

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