相続登記をやりやすくせよー法務委員会―

たいへん手続きの煩雑な相続登記をもっとやりやすくできないか、法務大臣に聞きました。

<議事録>

○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。
これまでの質疑を聞いておりましても、この法案、この法律が、一般的な私たち国民にも多く関係してくるんだということがよく分かります。このまま何もしていないと、二十一年後には所有者不明の土地が北海道の本土の土地と同じぐらいになってしまうという推計が出ていると。
どうしてこれほどまでに所有者不明の土地が生じてしまったのかというその原因を考えながら法案を読まさせていただいたんですが、附帯決議にも我々は出させていただきましたけれども、提案として、一つには、相続登記に係る相続人の負担、これが余りにも大き過ぎるということがあります。まずこれを解決していかないと、先ほど申し上げたように、どんどんどんどん広がっていってしまうという現象が食い止めることができないんではないかと思うんです。
また、私、偶然にも、今回の質疑をする前に、周辺にこの相続の登記の作業をした人間がおりまして、実際に現在のこのシステムの中でどれほど苦労するかというのをちょっとお伺いしたわけなんでございますが、所有者不明の土地が生じる原因として、相続登記がなされていないというのが、これが一つあります。現在の登記事務では、相続登記の必要な書類を準備するというのが、これ極めて煩雑な作業なんですね。
お話を聞いていますと、法務省に電話をしたと。出てくる人がいつも言うことが全然違うと。登記官に言うと、とにかくこちらに来てくださいと。こちらは交通費も時間も掛けて行くんだけれども、その家系図みたいなものを出させるのに何度も何度も書類をやり直さなければならないということで、結局、登記官が、とにかくおいでくださいというふうに呼び付けられるというような制度なんですね。やっても分からないので、とうとう司法書士に幾らかの経費を払いながらやることになる、自分ではできないじゃないか、どこかで仕事を増やしているんではないかというような訴えもありました、要するに司法書士のですね。そういう意味でありますと、極めて相続登記の書類を、必要な書類を準備するのが煩雑であるということなんです。
その相続登記に関する相続人の負担軽減のためにどのようなこれまで措置を探ってきたのかということをお話しいただきたい。法務省の政府参考人の方にお伺いします。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
相続人の相続登記に係る手続の負担でございますけれども、各種の相続手続に係る負担を軽減する観点から、平成二十九年五月でございますが、新たに法定相続情報証明制度といったものを創設して、その運用を開始しているところでございまして、現在までに多くの方に御利用いただいているところでございます。
また、相続登記の促進の観点から登録免許税の負担を軽減すべきと、こういったような指摘があることも踏まえまして、例えば数次にわたって相続がされていても登記がされていない土地、あるいは一定の要件の下で不動産の価額が十万円以下の土地について、平成三十年度から令和三年三月三十一日までの間、土地の相続登記に対する登録免許税を軽減する措置が設けられているところでございます。
加えまして、今国会に提出しております戸籍法の改正案におきましては、今は戸籍謄本は本籍地の市町村に請求ということになりますが、最寄りの市町村において相続人本人ですとかあるいは父母等の戸籍謄本を取得することができる、こういった制度も盛り込まれているところでございます。
このように取り組んでいるところでございますが、今後も、こういった相続人の負担軽減策についてはしっかりと検討してまいりたいと考えております。

○石井苗子君 もうちょっと手前のところも大変なんですね。例えば銀行に、幾つかあると、銀行五つあったら五か所行ってそれぞれ書類をそろえなければならないとか、被相続人が戸籍を移していたなんという場合がございますよね。そういうときには、生まれてからの戸籍謄本を全部収集しなければ、非常にその収集面倒です、これ。
こういったことをやっていますと、相続登記しないで、例えば山奥の土地だったりなんかすると、登記しないで放置しておいてもいいだろうと、罰則もないしということが膨れ上がっていくんじゃないかということが今回ちょっと勉強してよく分かったので、その負担軽減を積極的に取り組むというのは非常に大切なんですが、先ほどの相続手続の負担軽減の、平成二十九年度五月からの法定相続情報証明制度というのが設けられていますが、今説明がございましたけれども、利用拡大に向けて、現状の利用状況というのは、例えば年金の手続とか、さっき言いました銀行の預貯金の相続などではどの程度これは使えるんでしょうか、御説明ください。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
この平成二十九年五月から運用を開始しております法定相続情報証明制度でございますけれども、平成三十年度の法定相続情報一覧図の写しの交付数、全国で約六十九万通ということで、かなり利用されている状況でございます。金融機関のほぼほとんどがこういった法定相続情報証明制度が利用できるという状況というふうに認識しております。
また、平成三十年四月からでございますが、相続税の申告等にも利用できるように、相続人である子について実子か養子かの別も明らかにできるようにするなど、記載内容を充実させる取組を実施しているところでございます。
また、各法務局におきましては、銀行等の金融機関を中心に利用の拡大に向けた広報などに努めているところでございます。

○石井苗子君 もう少しこれから軽減するようなことを積極的にやっていっていただきたいと思うんですね、制度的に。
次は、登記官という方なんですが、その登記官という人がどういう人なのかというのを、素人だったのでよく分からなかったんですが、一応教えていただきますと、台帳の調査、聞き取り調査、現地での立入調査などを登記官や所有者等探索委員というのがおやりになると。どのような人がおやりになるんですかというのは先ほど御質問がありまして、司法書士や土地家屋調査士、公務員などを退職した人たちを予定しているということで、これで多分理解間違いないと思うんですが、時間もありますので。
この登記官の方々、これまで基本的に、私の理解ですと書面を審査してきた方々だと思うんですけれども、自ら情報を収集したり、あるいは実地調査をするというようなときに必要な知識や経験というのが要ると思うんですけれども、この方々というのは、研修をしてそういう能力を身に付けることを考えていらっしゃるのかどうか、ノウハウというのをどのように持っていくのかということ。研修などを行っていらっしゃる方ですか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
登記官でございますが、現行の不動産登記法上、表示に関する登記につきましては、これは職権で登記をすることができるものでございまして、このために、土地の実地調査ですとかあるいは立入り権も認められており、現実に表示の登記に当たってはそういった実地調査を行っている、そういうものでございます。
したがいまして、現在でもそういった観点からの研修というものを行っているところでございますが、この法案によりますと、表題部所有者不明土地の所有者等の探索を行うために、当該土地だけではなくて、周辺土地への調査、立入り権も認められますし、また、関係機関等への資料の収集に関する権利も新たに付与されることになります。
もっとも、表題部所有者不明土地、全国に相当数存在しますので、こういったものを速やかに解消するためには、作業能力を上げるとともに、新たな権限が付与された登記官の探索能力の向上が必要だと考えております。
そのため、法務省におきましては、この法律案の円滑な施行のために速やかに省令等の整備を行いまして、業務を行う各法務局、地方法務局に対して説明会などを行うことを予定しておりますが、さらに、各法務局、地方法務局においても、各登記官に対する説明会のほか、実際の業務を通じて職場内での研修を行うことを予定しているところでございます。このほかにも、内部における作業手順をできるだけ定型化する努力や工夫を重ねながら、登記官の能力の向上に努めていきたいというふうに考えております。

○石井苗子君 そういった研修をこれからきちんとやっていただかないと、登記官も外出して仕事をすることになるということだと思います。
最後に、大臣にお伺いいたします。
今後、所有権を放棄する制度を設けるという場合もあるかと思うんですが、そのときにはどんな問題があるのか、その相続登記に係る相続人の過大な負担を是非積極的に軽減していただきたいんですけれども、この辺りはどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(山下貴司君) 土地所有権の放棄を認める制度を設ける場合には、例えば、土地の所有者が一方的に土地の管理コストの負担を免れて、これを土地の帰属先機関の負担とすることになりかねないということの問題がございます。
これを踏まえて、法制審議会の今部会におきましては、土地所有権の放棄が許されるための要件設定や、放棄された土地の帰属先機関の在り方などについて調査審議がされているところでございまして、まずはこの調査審議の状況を踏まえて、令和二年中に必要な法改正を実現することを目指して、引き続きしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

○石井苗子君 ありがとうございました。
質問を終わります。